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2016年補聴器最新技術②ー補聴器で音楽を聴くこと、満足できてますか?

2016年補聴器最新技術寄稿、2回目の今回は、スターキーの補聴器技術である音楽専用の処理方式開発の裏側を覗いていきます。

 

(この記事の第1部は右記をご覧ください。補聴器最新技術①ー補聴器で音楽を聴くこと、満足できてますか?

 

 

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ツインコンプレッサー技術が生まれた背景: リサーチと開発プロセス

 

補聴器は会話音の音声明瞭度を改善することには成功してきました。しかし、音楽の周波数特性は会話音に比べはるかに広く、会話音よりゆっくりと、そして微妙に変動していきます。周波数特性の変化を見ると、音声よりも音楽の知覚は広く、これが音楽にとって非常に重要であることがわかります。そして、会話音はその大部分が単一音源であり、しばしば環境音に紛れてしまうのを嫌いますが、音楽は本質的に複数音源であり、稀にノイズと思われるようなサウンドでさえその音楽には欠かせない要素として埋め込まれているのです。

 

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↑ヒトが聞こえる範囲(可聴範囲)と音楽、会話音の音の大きさと周波数の範囲

=難聴になると可聴範囲が狭まっていきます。初期に影響するのは音楽領域。自分でも気づかないうちに周囲が静かになっていく・・・と生活の機微に気づけないことが多くなりますが、この段階では「我慢」でやり過ごす人が多く、気付いた時には会話も聞き取りにくくなっていることが多いのです。

 

 

ミュージシャンと補聴器ユーザーとの度重なる検証

 

会話音とは分けて個別に音楽を処理する補聴器を開発するために、科学者や技術者がミュージシャンや補聴器ユーザーと連携して検証を繰り返しました。そして、高精細な音楽再現を提供するための複雑なアルゴリズムを実行する最良の方法を見つけ出しました。


「補聴器ユーザーは『補聴器でも音楽を楽しみたい』と私たちに言いました。開発にあたった数年間、私たちの目標は、自宅で気軽に音楽を楽しむシーンでも、プロのミュージシャンが求める音楽シチュエーションでも、補聴器ユーザーにとって聴く楽しさを提供するために開発設計することでした。」と主任研究員ケリー・フィッツは話しています。


スターキーの開発チームは、プロジェクト開始直後から、まったく新しい、音楽のためのユニークな何かを設計する必要があるだろうと想像していました。最終的に補聴器ユーザーとプロのミュージシャン、双方の検証から2つのことがわかりました:

 

1: ユーザーは音楽を調整するには音量調節を使用できることが一番だと思っている。ただ特に大音量の音楽では、周波数帯域の加工や圧縮をあまり好まない。ユーザーは音楽を「自然なありのままのサウンド」として聴きたい。

 

2: 音楽の音響レベルの調整に音量調節を使用したとしても、静かなパートは聴こえ難く、迫力のあるパートは苦痛なほど大音響に感じてしまう。

「理想的には透明感のある高音質を作りたかったのです。ただ音楽のパートによっては音が大きすぎる一方、聞くことができない小さいパートの変化を捉え、補聴器ユーザーにも届けることが課題でした。」とフィッツは語ります。

 

 

開発結果

 

開発チームは、あまりにも静かな音を増幅するためには補聴器の技術を使用する必要があると決定付けました。要するに、新しい機能には働いて欲しい音と働いて欲しくない音を混ぜてしまうことなく、分類して働くように修正しなければならなかったのです。それはまさに綱渡りのような開発でした。

 

上述のように、音楽は複音源で複数の要素があるので、会話音とは異なるサウンド処理をする必要があります。補聴器で音楽を処理するために、スターキーは音楽を聴くために特別に設計された新しいプログラミングコードを記述していきました。結果、会話音の明瞭度と音楽を聴く楽しみの両方を実現するSynergy(シナジー)やAcuityOS(アキュイティOS)といった二つの新しい聴覚技術をその微妙な綱渡りの中で完成させたのです。

 

 

ミュージシャン登用の理由  

 

「私たちは音楽の音質に極めて鋭敏なプロミュージシャンを登用しました。」

 

フィッツはカリフォルニア州・バークレーの研究所で作曲家やミュージシャンなど何人ものプロの音楽家に協力してもらったと語ります。

 

「プロのミュージシャンは、彼らが聞いている音楽を表現するための語彙を多く持っているので、人々が望むもの、望まないものを把握しやすかったんです。音楽を聴くことは彼らの仕事。当たり前ですが、彼らは音に対して非常に敏感です。聞こえているものと聞きたいものを正確に表現してくれました。

 

補聴器を使用している人、補聴器を調整している人は体験したことがあると思いますが、聞こえているものを説明することは非常に難しいものです。特に音楽の聞こえ方を言葉にするのは困難です。

 

ミュージシャンを登用したもう一つの理由は、音楽家が音楽を処理する際、補聴器の能力に求められるような厳しい環境で仕事をしているということでした。

 

「ステージ上で活躍するオーケストラやバンドは聴覚的に非常に厳しい状況にさらされます。重要なことは、それは補聴器にとっても厳しい状況にあるということです。」とフィッツは続けます。

 

「音楽は彼らの仕事であり、彼らが生活のためにしていることです。だから、私たちの開発しているものが、技術力が高く要求されるシチュエーションで、音楽を楽しむために本当に役に立つものかを確信したかったのです。」

  

 

この記事の第1部は下記をご覧ください。

補聴器最新技術①ー補聴器で音楽を聴くこと、満足できてますか?

 

 

トピック: 補聴器, 補聴器販売店