スターキーアメリカ本社で行われているポッドキャストコンテンツから、
CTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)アーチン・ボーミックがAI補聴器の何がどのようにすごいのかをCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)デイブ・フェイブリーとの会話から解説させていただきます。
CIOデイブ(左)とCTOアーチン(右)
AI補聴器って何がすごいの!?
デイブ:
では、少しテクノロジーに話を移しましょう。あなたはAIが当たり前に存在する業界から、補聴器の世界に来たわけですが、補聴器業界では、AIはどこにでもありながら、一方であまり意味がないと言っている人も見かけます。
しかも、AI、機械学習、ディープニューラルネットワーク、ディープラーニングなど、人によって定義や捉え方が少しずつ違うようです。これらの違いと、私たちスターキーの定義について、わかりやすく話してもらえますか?
アーチン:
いいですね!
補聴器ユーザーにとって何が必要かという観点から、アプローチしたいと思います。
ユーザーは自分の今いる環境に応じて、それぞれの設定が必要なんです。
例えば、ある補聴器が音を取り込み増幅するように設計されていたとします。
ただ現実世界では、音にはさまざまな意味があり、私たちの耳は、空気の振動を伝える導管で、さまざまな音源から不協和音ともいえるべき音を受け取っているわけです。
私は今、静かな場所で会話ができていますが、カフェやレストランでは、音が興味のある音から迷惑な音に切り替わることがありますよね。
今は会話をしているので、周りの音楽はそれほど気にならない。でも、休憩に入ったら、その音楽を楽しみたい。もし、この補聴器が頭が良くなかったら、耳に入ってくる音を同じように増幅していたら、それは迷惑な装置です。
BGMも増幅されて、何を言っているのかわからない。
誰かが突然掃除機を持ってきて掃除を始めたり、
トラックが通り過ぎたり、
私が外に出たとたん、大きな風が吹いてその音が増幅される・・・
想像してみてください。それが昔の補聴器の世界です。
AIに何ができるかを説明すると、"今すぐ欲しい "と言われます。私たちはよくテクノロジーや専門用語、機械学習、ディープラーニング、人工知能に捕らわれて、ユーザーさんを怖がらせてしまうことがあります。
しかし、スマートで、インテリジェントで、どの音を増幅すべきかを知っている、デバイスを想像してみてください。
今であれば、私たちは会話をしているので、会話音の音声成分を増幅し、BGMを小さくするか、増幅しないようにすべきでしょう。そして、私が話を止めた瞬間、おそらく私は周囲の音に注意を払っているので、それらを少し優先させるべきでしょう。あるいは、私が今、外に出たら風切音を自動的に検知して、それを抑制する。そのような、今まで不可能だったことが機械学習で可能になる。
それはなぜか?
なぜなら、AI以前のコンピューティングの世界では、エンジニアが「こうなら、こうだ」とルールをコーディングしていたからです。機械学習やAI以前のコンピュータのプログラミングパラダイムは、条件文が中心だったのです。デバイスのプログラムにルールをコーディングする必要があったのです。
これが見えたらこうする、これが聞こえたらこうする。信号のパターンがこうだったら、こうする。それを10個のルールで、あるいは100個のルールで。1000のルールを入れて、と。
機械学習が行われるようになったことで、この数の比ではない大量のメモリを必要とする巨大なプログラムをデバイスに入れることができ、とてもエキサイティングな開発ができるようになりました。
新聞やニュースでAIが世界を席巻していると聞きますよね。「AIは新しい電気」と書かれたりもしますが、あの言葉はスタンフォード大学の同僚アンドリュー・エイング氏の言葉でもあります。ここに真実があります。もっと時間があれば、もっと詳しく説明したいのですが、テクノロジーのあらゆる側面で世界は、AIによって変わろうとしています。
自動車は自動運転になり、死亡事故は桁違いに少なくなるでしょう。また、3年前に届いていた迷惑メールと今を比べてみてください。迷惑メールのほとんどは、自動的に迷惑メールと判別され、分類されるようになっていませんか?それなしで、今のようなGmailの体験はできないでしょう。銀行口座の安全性を保つこともできます。AIは匿名取引の検知ではるかに優れた仕事をしています。がんを発見するための放射線画像の読み取りでも、人間の医師より優れた仕事をしています。
補聴器の世界では、それは何を意味するでしょうか?
一日に10億回もの自動環境適応
機械学習アルゴリズムを搭載したデバイスは、何百万もの自動分類を行うことができます。私たちがこの数字を言うと、人は唖然とします。
今、スターキーの補聴器は、1時間に5,500万回の自動調整を行います。
Evolv AIの紹介動画で1時間に5,500万回の自動環境適応も紹介
デイブ:
これはEvolv AIに搭載されていますね。5,500万回。
アーチン:
そうです。毎日装用している私からすれば、毎日10億回の調整です。10億や100万だって想像つきませんよね。毎日100種類自分で設定しなければならないなんて、、とても無理です。
私は自分の人生を歩みたいし、あなたと話したいし、人に挨拶して、会議にも出たい。意識しないで補聴器が人工知能に基づいて10億回自動環境適応調整してくれるようなスマートさは誰でも欲しい。それが私たちスターキーの補聴器が行っている事です。
ですから、AIについて語るとき、それは10年後のことではありません。
デイブ:
今でしょう。
アーチン:
はい、スターキーが作っている補聴器です。この2年、たった2年で達成したんです。
目を閉じて、また今後に私たちが何ができるか想像してみてください。
いかがでしたか?
スターキーの最新補聴器Evolv AIにつながるストーリーは今後も更新していきます。