過度な騒音がきこえに悪影響を与えることは広く知られています。一方で、その影響はきこえだけにとどまりません。都市化の進展や生活環境の変化により、私たちは騒音や大気汚染、猛暑など、さまざまな環境ストレス要因にさらされています。
実際に、欧米の主要な心臓病関連学会は共同声明を発表し、これらの環境要因が心血管疾患の発症や増加に関与している可能性を示すとともに、対策の重要性を訴えています。では、騒音をはじめとする環境要因は、私たちの体にどのような影響を与えるのでしょうか。今回は、騒音が健康に与える影響と、日常生活でできる対策についてご紹介します。
過度な騒音や大気汚染、猛暑など、環境要因は私たちが思っている以上に健康に影響します。(出典:AHA | ASA Journals)
私たちを取り巻く環境が健康に与える影響とは?
騒音をはじめとする環境要因は、私たちの体にどのような影響を与えるのでしょうか。
これまで心臓や血管の健康に影響を与える要因としては、高血圧や糖尿病、喫煙などがよく知られてきました。しかし近年では、私たちを取り巻く生活環境そのものも、健康との関連が重要視されるようになっています。
欧米の主要な心臓病関連学会が2026年に発表した共同声明では、騒音や光害(夜間の人工照明など)、大気汚染、気候変動などの環境要因を「健康ストレス要因」と位置づけています。これらの要因は、身体の酸化ストレス(細胞にダメージを与える要因)や慢性的な体内の炎症反応、血圧や心拍を調整する自律神経の変化などを通じて、心臓や血管の健康に影響を及ぼす可能性があると指摘されています。
なかでも騒音は、大気汚染や猛暑などと並び、これまで十分に認識されてこなかった環境要因の一つです。私たちは日常的に騒音に接する機会が多く、その影響をあまり意識せずに過ごしていることも少なくありません。しかし騒音は不快感を生じさせるだけでなく、睡眠や休息を妨げたり、日々の生活の快適さに影響したりすることがあります。
日本でも騒音は身近な環境問題です。
騒音は世界的な研究テーマである一方、日本でも身近な環境問題として長年取り組まれてきました。環境省では、生活環境の保全や健康保護の観点から騒音に係る環境基準を定めており、その目的の一つに「人の健康の保護」が含まれています。
このように近年では、世界的に騒音を「単なるうるささの問題」ではなく、生活環境や健康との関わりを含めて捉える考え方が広がっています。では、私たちが日常的に耳にしている「騒音」とは、どのような音を指すのでしょうか。
騒音公害とは?
ここでは、こうした環境要因の中でも、騒音が引き起こす「騒音公害」に注目してみましょう。米国環境保護庁(EPA)は、騒音公害を「望ましくない、あるいは不快な音による環境上の問題」と説明しています。
私たちの身近なところでも、交通量の多い道路や駅、工事現場、混雑したレストランやカフェ、商業施設など、さまざまな場所で騒音に接する機会があります。こうした音は、周囲の状況によっては会話や音声を聞き取りにくくし、日常生活やコミュニケーションに支障をもたらすことがあります。
環境省が発行する環境白書では、騒音は単なる「うるささ」の問題だけでなく、不快感や睡眠への影響、会話のしづらさなど、日常生活のさまざまな側面と関わる問題として取り上げられています。このように騒音は、私たちの生活環境や健康に関わるだけでなく、人とのコミュニケーションを難しくする要因にもなり得るのです。
騒音から耳と健康を守るためにできること
騒音を完全に避けることは難くても、日常生活の中で騒音にさらされる機会を減らす工夫はできます。
例えば、テレビやスマートフォンの音量を必要以上に上げない、騒がしい場所では適度に耳を休ませる、コンサートや作業現場など大きな音にさらされる場面では耳栓などの保護具を活用するといった方法があります。また、住環境を整えて外部からの騒音を和らげたり、騒音計アプリなどで周囲の音量を把握することも有効です。
こうした小さな心がけは、きこえだけでなく健康的な生活環境づくりにもつながります。一方で、仕事や外出、人との交流など、騒音を完全に避けることが難しい場面も少なくありません。特にレストランや商業施設、駅などでは、周囲の音が多い中でも会話を聞き取る必要があります。
近年では、騒音を減らす工夫に加え、騒がしい環境の中でも必要な音声を聞き取りやすくするさまざまな音響技術やAI技術が活用されています。補聴器の分野では、周囲の騒音と会話を分析しながら聞き取りを支援する技術が進化しています。スターキーの最新補聴器「Omega AI(オメガAI)」では、複雑な音環境のなかでも会話を聞き取りやすくし、自然なコミュニケーションをサポートします。
きこえと健康、そして豊かな毎日のために
私たちの健康は、食事や運動だけでなく、毎日を過ごす環境とも深く関わっています。
騒音をはじめとする環境ストレスと上手に付き合いながら耳と健康を守ることは、大切な人との会話や社会とのつながり、そして自分らしい毎日を支えることにもつながります。これからも身近な音を心地よく楽しみながら過ごしていくために、この機会にご自身のきこえに少し目を向けてみてはいかがでしょうか。
もし最近きこえの変化が気になっている方は、現在のきこえの状態を確認してみることも大切です。
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本記事はスターキー本社(米国)において執筆された内容をもとに、日本市場向けに情報を補足しながら再編集したものです。
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