(2025年9月29日更新)
補聴器は、外出時や人との会話の場面で役立つことはよく知られています。では、もし今日はどこにも出かけず、家で静かに過ごすだけたとしたら、それでも補聴器を着けるべきなのでしょうか?
答えは「はい、ぜひ着けてください」。
ご自宅で補聴器を装用することは、たとえ静かにひとりで過ごす日であっても、さまざまなメリットがあります。
補聴器を使い始めたばかりの方にとって、ご自宅での装用はとても大切です。補聴器を装用すればするほど、その音は自然に感じられるようになり、聞き分けることが簡単になります。たとえば、冷蔵庫の音や時計の針の音など、これまで気づかなかった日常の音が聞こえるようになることで、最初のうちは少しうるさく感じるかもしれません。
でも心配なさらないでください。補聴器を着け続けることで、こうした音は次第に自然に感じられるようになり、気にならなくなっていきます。
「きこえ」に慣れることは、補聴器を快適に使いこなすための第一歩です。まずはご自宅で、無理なく続けてみましょう。
今日はどこも出かけず、静かに過ごしたいーーそんな日でも、補聴器を装用することには大きな意味があります。きこえは脳と深く関係しています。耳を通じて音は脳へと届きます。届いた音の意味を理解するのは脳の役割です。脳は音を処理し続け、それにより活性化されるのです。
音を「きく」ことは、脳にとって大切な刺激のひとつ。補聴器を通して日常の音を取り入れることで、脳は常に活動を続け、聞こえの感覚を保つことができます。
静かな日でも補聴器を着けることが、脳の健康に良い影響を与える可能性がある——これは、米国ジョンズ・ホプキンス大学の研究でも示されています。
聴覚の専門家であるフランク・リン博士と研究チームは、12年間にわたり639名の高齢者を対象に、未対処の難聴が脳に与える影響を調査しました。その結果、難聴に未対処の場合、思考や記憶に関わる認知機能の低下が高まる傾向があることが分かりました。
具体的には:
この研究結果は、きこえの低下と認知機能の低下との間に明確な関連があることを示しています。そして同時に、「きこえを大切にすること」がいかに重要かを教えてくれます。
たとえそれが、窓からきこえる鳥のさえずりや、御飯の炊き上がりの音といった何気ない音であっても、脳はそれらを処理し続け、活動を続けています。
つまり、補聴器を着けることで、これまで届いていなかった「きこえ」が戻るだけでなく、認知機能の低下のリスクを下げる一歩にもなるのです。これは、聞こえと脳の健康の両方にとって、うれしい相乗効果と言えるでしょう。
ご自宅で補聴器を装用することは、ご自分だけでなく、周囲の人の安全を守るためにも大切です。補聴器によるより良い聴こえによって、火災報知器や煙探知機、救急車のサイレンなどの緊急音はもちろん、電子レンジのタイマーや体温計など日常の重要な音にも気づきやすくなります。
さらに、補聴器の装用によって、転倒リスクが約30%低下するという研究結果もあります。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、米国では毎年、高齢者の4人に1人が転倒を経験しており、さらに、その多くが家庭内で発生していると報告されています。国内に目を転じてみても、高齢者の転倒事故の多くは、住み慣れた自宅で発生していることが報告されています。東京消防庁によれば、そのおよそ6割は自宅での転倒によるものだとのこと。補聴器は、きこえのサポートだけでなく、安全な暮らしを支えるパートナーでもあるのです。
万が一の転倒にも備える、スターキーの補聴器
年齢を重ねると、気を付けていてもちょっとした段差やふとした動きが転倒につながることもあります。だからこそ、日常のなかで「もしも」に備えておくことが大切です。
エッジ AIをはじめとしてスターキーの先進AI補聴器は、転倒を感知する機能を搭載しています。万が一転倒が検知された場合には、専用アプリ「My Starkey」を通じて、あらかじめ登録したご家族やケアスタッフなどに通知を届けることができます。サポートが必要なときに、すぐに周囲に知らせることができる安心の仕組みです。
補聴器は、家族との会話をサポートするだけでなく、家にいながら外の世界とつながる手段にもなります。補聴器をiPhoneやスマートフォン、タブレット、テレビなどと簡単にペアリングすることで、補聴器に直接音声を送ることができ、とても便利です。(※器種やお使いの携帯端末などにより、接続性は異なります)
たとえば、こんな楽しみ方ができます:
補聴器は、きこえを補うだけでなく、日常の楽しみや人とのつながりを広げるツールとしても活躍します。家にいる時間ももっと快適に、もっと彩り豊かになる——それが、いまの補聴器です。
きこえにお悩みですか?現在の耳の状態やきく力を知るために耳鼻科での聴力検査をお勧めします。もし補聴器を勧められたり、お考えならば、ここに郵便番号を入力いただくだけで、補聴器技術の紹介や試聴可能なお近くの補聴器専門店リストを表示します。(補聴器の試聴には費用がかかる場合があります。)補聴器のきこえがどのように役立つのか、ご自身の耳で確かめてみませんか?
すぐに聴力測定やお店に行けない場合は、オンラインで5分で終わるきこえのチェックをしてみましょう。
またご自身の耳の状態について相談できる方がいない場合、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が掲載している全国の補聴器相談医リストを確認してみてください。
本ブログ記事はアメリカ本社所属のオージオロジストが執筆したものを日本市場向けに加筆したものです。