スターキーアメリカ本社で行われているポッドキャストコンテンツから、
CHO(チーフ・ヘルス・オフィサー:最高衛生責任者)アーケル・ジョルジョ医師が耳と健康問題、そして業界唯一の現役医師として、補聴器メーカーに勤めるCHOとして、伝えていきたいことをCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)デイブ・フェイブリーと解説させていただきます。
CIOデイブ(左)とCHOアーケル(右)
デイブ:
難聴に関連する健康状態について、その理由を少しお話ししましょう。私にとっての仕事の多くは、あなたがおっしゃったように、難聴とデータを結びつけること、そして、日常的に収集されている既存のデータと結びつけることが、課題です。
私が経験したのは、難聴を他の健康状態と関連付ける初期の文献で、2000年代初頭に発表された心疾患と難聴を関連付ける研究でした。
糖尿病や脳卒中のリスク、血圧の上昇など、多くの研究が発表され、心臓専門医はしばしば、高齢者の耳は心臓血管の健康状態を測る良いバロメーターであると言いました。心血管疾患以外に、最近、難聴と関連する疾患はありますか?
アーケル:
まず、耳は血管系器官なんです。心臓も血管系器官です。脳も同じように血管のある臓器です。この2つが出てくるのはまったく理にかなっているんです。
うつ病や不安神経症、社会的孤立、孤独といった精神的な問題について前回話しましたが、もし私が聴覚と健康全般の関係性について、事実をすぐに伝えなければいけないとしたら、私は「間違いない」と言いたいです。
難聴と認知障害や認知症には明確な関連性があることを理解してもらいたいのです。
軽度難聴は多くの医師が "軽度だから・・・"と言いますが、それは間違いです。
軽度難聴は認知機能障害のリスクを2倍、中等度難聴は3倍、高度難聴は5倍にします。
デイブ:
団塊の世代の高齢者である私にとって、両親の癌や心血管の病気を心配していました。
「軽度だから心配ない、悪くなるのを待てばいい」と言うのではなく、 難聴と認知症や認知機能の低下との相関関係を調べ始めると、突然、注目されるようになりました。まだ解明しきれてはいませんが、因果関係があるという証拠は次々と出てきています。
アーケル:
多くの研究により、明らかな関連性があることが分かってきています。医学界は科学(サイエンス)を信頼しています。
近いうちに、フランク・リン博士の研究で明らかになることを期待しています。
私は、ランセット委員会が「Lancet Commission on dementia 2020」で飛躍的な進歩を遂げたのを本当に嬉しく思いました。
難聴と認知症の因果関係が証明されていないことを理解した上で、
難聴が最も重要な修正可能な危険因子であると宣言したのです。
中年期への難聴の言及については、私たちは皆、Lancetが少し踏み込みすぎたのでは?と考えました。しかし、彼らが言及したのには重要な理由があるからだと考えます。
デイブ:
12の要因のうち、中年期の難聴が最も大きな要因。最大の要因でした。
これは本当に重要な結果だと思います。
最近あなたが取り上げた英国の研究でも、音声や騒音の理解困難が認知症の重大なリスクにつながるというものでした。
アーケル:
難聴の最も早い兆候の1つは、会話と騒音。
これもまた、多くの人が
"周りが混雑していたから聞こえなかっただけ "と思ってしまいます。
この研究では会話・騒音に関する難聴は、認知障害や認知症を発症するリスクも高いことがわかりました。
難聴を無視することは、全身の健康と脳の健康のために重要な予防策を無視することになるのです。
補聴器業界唯一のユーザーみまもりアプリ「スライブケア」は
補聴器内蔵のセンサーによる正確な健康情報をモニタリングできる
デイブ:
さて、実は年末年始は、人々が孤立し、孤独を感じ、落ち込む時期でもあるんです。問題は、もしそのような経験をして、それに気づけたのであれば、オンライン環境であれ、対面であれ、コミュニケーションに困難が生じるはずです。行動を起こす必要があります。
つまり、簡単なオンライン聴力測定を受けてみましょう。
繰り返しになりますが、私が簡単と言ったのは、血液を採取する必要もなく、時間も多くかからないからです。
特に年末年始は、テレビや映画でお祭りのような光景を目にしますが、未対処の難聴の場合、それを見て逆に落ち込んでしまうことがあるんです。
アーケル:
うつ病や不安神経症など、精神的な問題を抱える人にとって、休日はストレスの多い時期であることは、医学の世界ではよく知られています。難聴になると、この休日の影響がさらに大きくなるのです。
本来、幸せな時期ですが、家族が集まると、昔からの問題が噴出したり、問題が出てきたりします。さまざまな問題が生じる可能性もあるため、年末年始は大変な時期になります。
もし難聴であれば、それがさらに強調されるかもしれません。集まるときに、みんながマスクをつけていたら、さらにそれは強調されてしまうかもしれません。ですから、このことを認識することは重要です。
しかし、もう一つ指摘しておきたいのは、通常、難聴は自分よりも他の人が先に気づくのが多いことです。
年末年始は、家族で集まったり、高齢の親に会うことを優先する時期です。
自分の親や家族、親戚に注意を向けることをお勧めします。
テレビの音量は、これまでよりずっと大きくなっていませんか?
過去に比べ、繰り返し聞くことが多くなっていませんか?
父母から、はっきりしゃべりなさい。と言われたりしませんか?
これらはすべてサインかもしれません。
親が難聴の程度を超え、対処が必要な状態になっている可能性もあります。
もしあなたが家族を愛しているなら、あなたの責任は、楽しく休日を過ごすだけでなく、これらのサインや症状をしっかりと認識し、うまくいけば彼らを連れて行き、対処を始めることができるようにすることです。
デイブ:
そうですね。難聴のサインを見逃さないようにするほど、素晴らしい贈り物はありません。
高齢の親からは「年をとっただけだ」と切り捨てられることがあるかもしれませんが、本当は末梢性の難聴かもしれないのです。
ご両親が難聴を自覚し、その克服をサポートすることが、
結局のところ、あなた自身への最高の贈り物になるかもしれません。
補聴器は、スターキーの最新製品のように、身体活動や社会参加などを追跡できるセンサーを搭載しており、健康やウェルネスを促進してくれる、その旅をサポートすることができます。
アーケル:
そして、私はさらにもう一歩踏み込みたいのです。一つは意識すること、一つは連れ出すこと、それから、アクションすることが本当に重要だと思うからです。
そこで、私がお勧めするのは具体的には、こんなことです。
私は医者一家に生まれました。だからこれは奇妙なことではないと思うのですが、家族と一緒にいて、ゲームをしたりするとき、家族の誰かが難聴だと思ったら、スターキーのウェブサイトにアクセスし、オンライン聴力テストをしてもらいましょう。楽しくやってみましょう。難聴と烙印を押さず、隠さず、自分でやってみるんです。自分の聴力レベルを知ってもらうために、行動を起こすのです。
そうすれば、もしあなたの親や親戚、年上の叔父さんや叔母さんが問題を抱えていたとしても、とても安全で愛情深く楽しい方法で、それが表面化することでしょう。
最近、タニ・オースティン(スターキー創業者夫人)が言ったことがとても印象的でした。「人間性を聴くこと」です。私たちがお互いの話を聞くとき、それはお互いにつながる方法なのです。愛する人たちとつながるんです。だから怖がらずに、聴力測定ゲームをして、モノポリーで遊ぼう。すべては、お互いを愛しているからです。そうやって、私は休日を過ごすことにしています。
デイブ:
まったく同感です。難聴には、聴力を失うことに関連する偏見がまだ残っています。耳が聞こえなくなることで、家族から「年をとった」と思われる、「人間として価値が下がった」と思われる。しかし、多くの場合、最初のカウンセリングで家族と話をすることは、真実から遠く離れることではありません。
だから、行動に移して、一緒に行動してあげてください。
なぜなら、難聴者の心の中には、認知的不和がある場合が多いのです。
難聴を認めたくないし、難聴であることが嫌で、難聴が人生に与える影響が嫌なのです。
だからといって補聴器を好きになるわけではありません。特に、高齢化したベビーブーマーとしての個人的な考察に戻りますが、私は補聴器がもたらす利点よりも、補聴器をつけていることを誰かに見られていないかということに、ステータスを感じないようです。
しかし、スターキー補聴器であれば、電話をかけたり、運動量を記録したり、人とのつながりを維持したり、インターネットに接続したり、服薬や誕生日のお知らせをするのに役立つんです。
これらは、補聴器ユーザーが静かな環境でも騒がしい環境でもメリットがあり、補聴器を「きこえ」のための単一目的から多目的で多機能なコミュニケーションデバイスに一変させるというスターキーの夢の実現にも役立っています。
補聴器は人類を結びつけ、私たち同士を結びつけてくれるものなのです。
アーケル:
私はスターキーで多くの人を見てきましたが、補聴器を身に着けて、あなたは他のすべてのことを行うことができ、超能力を発揮することができます。
補聴器は老いや障害への象徴という偏見があり、それを払拭しなければならないと言うのは簡単ですが、補聴器がもたらす恩恵、コミュニケーションの恩恵、そして超能力の恩恵を実際に目の当たりにすると驚くべきことですよね。
デイブ:
最後の質問です。あなたはスターキーと一緒に1年半ほど働いています。学生、医師、オージオロジスト、難聴者に伝えたい重要なことは何でしょうか?
この業界に入ったばかりで驚いたこと、あるいはこの1年半ほどで学んだことで、最後に伝えたいことがありますか?
アーケル:
聴覚ケア業界は、聴覚分野のみに特化することで、自分たちに手錠をかけたようなものだと思うんです。残念なことです。聴覚の専門家、オージオロジスト、補聴器販売店は、ユーザーの皆様に聴こえをプレゼントする、それはとても素晴らしい瞬間なはずです。
聴力という贈り物をすることで、話してきたような、より良い聴力のメリットだけでなく、他の多くの重要な健康問題、心の健康、心臓病、糖尿病、喫煙リスクなどに取り組む扉を開いたことになるんです。
贈り物をしたことで、大きな影響を与えたその瞬間、彼らはあなたは信頼されます。
ミュージカル「ハミルトン」のリン・マニュエル・ミランダが言ったように、
「チャンスを逃すな、その信頼を公共衛生のために生かせ」です。
つまり、聴覚の専門家は聴覚の専門家以上の存在で、
公衆衛生の専門家であり、それを活用すべきだというのが、まとめになるでしょうか。
デイブ:
ありがとうございます。アーケル医師、今日、知恵を分かち合ってくれたことに、感謝の気持ちで一杯です。
いかがでしたか?
アーケル医師の以前のインタビュー記事は下記からご覧ください。
https://www.starkeyjp.com/blog/2022/09/sound-bites-archelle-vol.2
https://www.starkeyjp.com/blog/2022/08/sound-bites-archelle-vol1