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トピック

医師が補聴器メーカーでフルタイムで働く意義

スターキーアメリカ本社で行われているポッドキャストコンテンツから、

 

CHO(チーフ・ヘルス・オフィサー:最高衛生責任者)アーケル・ジョルジョ医師が入社後、着手した仕事から、医師がフルタイムで補聴器メーカーで働く意義をCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)デイブ・フェイブリーと解説させていただきます。

 

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CIOデイブ(左)とCHOアーケル(右)

 

米国予防医療タスクフォースへの提案

 

 

デイブ:

スターキーにとっても、業界にとっても、あなたを必要としていたまさにその時に、あなたは完璧な人物でした。COVIDの危機を少し超えて、あなたの1年目に起こった他の出来事に話を移していきましょう。

 

私たちは、50歳以上が難聴スクリーニングを受けるべきかどうかという、米国の予防医療タスクフォース勧告への対応に取り組みました。

 

私は長い間、難聴に対して年齢的な偏見があると主張してきました。

アメリカでは、生まれたすべての赤ちゃんを検査して、母親が退院する前に重大な難聴がないことを確認、できるだけ早く補聴器や人工内耳の検討をすることができます。

それに対して、65歳以上の定年退職者の3分の1~2分の1が、測定可能な難聴であることが分かっているにもかかわらず、聴覚の重要性に対する意識を高めることをあまりできていないのです。

 

予防医療タスクフォースは、2020年に2012年からの勧告を更新し、2021年につなげようとしていました。あなたの医師としての経歴から、50歳以上に対して広くスクリーニングを行うよう勧告できていない状況に対する提案の手助けをしてくれましたね。

 

米国の予防医療タスクフォースは、一般医師やプライマリケア医がベストプラクティスを実践するためのガイダンスを提供する機関です。

 

 

アーケル:

予防医療タスクフォースは独立した機関で、特にプライマリケア医が従う予防検診のガイドラインを設定し、保険会社が支払いを決定するための存在と理解してください。

 

この機関がマンモグラフィーは45歳から始めるべきだと言えば、医師は良い医療実践だと感じるでしょう。そしてそれは保険会社が支払いを始める時期になります。

 

聴覚スクリーニングについては、2012年の勧告で50歳以上に聴覚スクリーニングを勧めるには十分な証拠がない、と言われていました。私たちは、2020年、2021年にその勧告を変更すべき理由を説明するために、あなたと協力して働きかけました。

 

結果としてはそれは不成功に終わりました。本当に残念でしたし、短絡的な回答だと思いました。

しかし、聴力測定や聴力、補聴器の重要性を証明するための研究を行わなかったことについては、補聴器業界、医師、オージオロジストにも責任があると思います。私はがっかりしていまいましたが、次に見直すときには、もっと多くのデータがあることを主張する責任があると思っています。

 

 

 

医療従事者が聴覚スクリーニングに関わること

 

 

デイブ:

ええ、これはオージオロジストや補聴器販売従事者の方にとって、非常に重要なポイントです。私は40年近くこの業界に携わっています。ユーザーさんと直接接したり、難聴や平衡障害のために新しい技術開発していますが、データを持つ者は叫ぶ必要はありません。

臨床に携わる者、あるいは研究環境にある者にとって、すでに知っていることを検証するために、研究基盤を評価する中立的な立場の人たちがデータと証拠資料を必要としているのです。

私たちはデータを収集し、このような機関に提供することで、次回、更新時に、推奨してくれる可能性とその責任があります。

 

個人的には、50歳は少し年齢が低すぎたと思います。なぜ彼らがまず50歳を選んだのかわかりません。他疾患のスクリーニングを開始する際の一般的な年齢ですが、この場合、65歳ならもう少し説得力があったかもしれません。しかし、私は希望の光が見えたと思います。

 

最新の勧告と2012年の勧告では、コミュニケーションや社会参加における聴覚の重要性を認識するという点で、違いが見られました。最新の推奨事項の中で、社会参加に関連し、健康全般における聴覚の重要性を認識することに関連するいくつかの発見があることについて、コメントをお願いします。

 

アーケル:

ええ、ほとんどの人は読まないでしょうが、勧告を詳しく読むと、聴覚とコミュニケーション、社会参加の重要性を認めていて、認知障害と明らかに関連するというデータも出ています。しかし、それはスクリーニングを推奨するために十分なデータにはなっていません。ここでは紹介しきれませんが、そのニュアンスには違いがあります。あなたは、私がステージに立つと、ガイドラインに忠実で、外れないことをご存じでしょう。私は聴覚スクリーニングに関する予防医療タスクフォースのガイドラインと一致させているつもりですが、彼らが再び見直すのは10年後です。ただ抜け道があります。。抜け道という言葉は、正しいとは言えないかもしれませんが、説明させてください。

 

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難聴スクリーニングとして、プライマリーケアレベルでは、単に「聞こえが悪いですか?」と聞くだけです。診察前のアンケートでもいいですし、プライマリーケア医が一連の症状を確認する際に、その症状があるかどうかを確認するための質問でもいいのです。この質問は、難聴スクリーニングの質問として有効です。また、徹底的な病歴聴取と身体診察を行う上で非常に重要な質問です。

アメリカのすべての医学部では、医師として病歴聴取と身体診察の方法を教えています。「腹痛はありますか?視力に問題はありませんか?聴覚に異常はありませんか?」これは、良い医師であるための一部です。

私が言いたいのは...予防医療タスクフォースのガイドラインを無視しろとは言いません。しかし、本当に良い医師であれば、そのような質問をするはずなんです。そして、もしその質問をするならば、スクリーニングは行われているんです。そして、聴覚の専門家を紹介し、正式な測定を受ける必要がある人を特定することができるようになると思うんです。

 

 

オージオグラムの捉え方

 

 

デイブ:

次のトピックに移るにあたって、とても重要なポイントを挙げていただきました。私が個人的に嫌いなのは、難聴の程度が軽度と中等度、高度、重度の区別について話すとき「あなたは難聴の程度が軽いですね」と言われることです。

この国では、測定可能な難聴者のほぼ半数が軽度難聴者です。軽度ということは、その名の通り難聴の程度が軽いということを意味します。しかし、オージオグラムで測定した難聴の程度が軽い人の中には、難聴の程度よりもはるかに大きな困難を抱えている人もいることです。また、より重大な障害を持つ人々もいます。難聴の特徴を把握するために、医師がより良い手段を講じる必要があるというのが、あなたと私が同様に話してきた問題の1つだと思います。

 

また、専門家の方々は、オージオグラムはスナップショットであり、個人の難聴を過度に単純化したものだと話ました。確かにオージオグラムは、私たちが他のすべてを構築するための基礎です。しかし、難聴の程度が軽いと言うことは、市販の補聴器と関係があるのか、あるいは臨床的に緊急性がないのか、どちらでしょうか。医師がオージオグラムやスクリーニングオージオグラムを解釈する際に、軽度難聴と言われた人が何か行動を起こすまで、5年~7年遅れが生じてしまうことがよくあるのです。

 

 

アーケル:

解き明かすべきことがたくさんですね。

軽度の難聴を、「まるで何も問題ないかのように言われる人がたくさんいる」という話ですが、 私より8歳年上の姉は、耳鼻咽喉科の医師から同じことを言われたそうです。

 

「難聴は普通のことです。加齢の一部です。」

 

いいえ、そんなことはないんです。

難聴は加齢に伴って生じることですが、だからといって無視するわけにはいきません。その理由については、また後日お話ししましょう。

 

私たちは、健康に影響を及ぼす非常に重要なことを、最小限に抑えています。

もし、医師や専門家が患者さんにそうほのめかしているとしたら、

当然、難聴に対処するまでに5~7年かかることになりますよね。

 

もうひとつ、あなたはオージオグラムを単純と言いましたが、単純ではありません。

私は基本的なことを読めますが、たくさんの情報が載っています。

つい昨日のことですが、私が長年お世話になっている医師が、

大きな健康保険会社の最高医療責任者だったのですが、その彼がこう言いました。

 

「頭のいい人に、私の母のために、このオージオグラムの読み方を教えてもらえないだろうか」

 

もちろん、私が知っている中で最も賢い人、つまりあなたを紹介しましたよ。

それは単純じゃありません。

ですから、ユーザーさんにオージオグラムを説明するときでも、患者さんにオージオグラムを送るときでも、簡単には読めないものです。

 

そこで、あなたと私は、オージオグラムが語ることを単純な指標に凝縮することに価値があるのだろうかと、何度も話し合いました。指標は決して完璧ではありません。

しかし、もし個人に数字を与えたとしたら。

 

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デイブ:

BMIとかコレステロール数値のようなものですね。

 

アーケル:

はい、私たちは単純化が大好きですよね。オージオグラムは聴力に関する尺度の中で自分がどの位置にいるのかを示す数字にすぎません。

その数字に固定することで、一般的に、聴力は良くなることはありませんから聴力が悪くなったときに、それを知ることができるようにするんです。

 

これは、人々が自分の聴力と向き合うために使える戦略だと思います。

多くのオージオロジストが言いますが、聴力全体を反映したものではありません。

... そうですね。その1つの数字、仮にPTA4としましょう。

その1つの数字は治療のための数字ではなく、消費者のためのものです。

 

コレステロール値が262でも、LDL、HDL、トリグリセリド、家族歴がわからなければ、治療することができないのと同じです。

何かを処方する前に、それらすべてを知る必要があるのです。PTA4が高くても同じことです。

 

しかし、患者さんにとっては、PTA4は印をつけやすい数値なのです。ですから、今後もこの考え方を発展させ、それを使って何をすべきかを考えていきたいと思っています。

 

 

補聴器メーカーに勤める医師の役割

 

 

デイブ:

あなたのおっしゃることはとても重要です。私の友人マイク・マティックは、「瓶の中にいるときはラベルを読めない」という表現を使っています。彼は、ある分野で1年でも経験を積むと、突然、瓶の中に入ってしまい、何かを新しく見るという視点を持つどころか、まだ瓶の外にいるようなものだと言います。

 

医師としてのあなたの視点、ヘルスケア業界でのあなたの経験は、とても重要だと思います。

 

しかし、あなたがおっしゃるように、エンドユーザーである患者さんだけでなく、私たちほど聴覚に熱心でない他の医療従事者の意識を高め、患者さんが軽度や中等度の難聴を抱えているときに、より良いアドバイスをできるようにするためのスクリーニング対策を考えてみてはいかがでしょうか?これは、とても難しいことだと思います。

 

私は、医療従事者全体のためにこの問題を解明するために、皆さんと一緒に旅ができることをうれしく思っています。なぜなら、多くの場合、敵は私たちだからです。私たちは、なぜオージオグラムや簡略化した数値のようなものがうまく機能しないのかに反応しようとするからです。

 

おっしゃるとおり、診断ツールとしての意図はありません。このツールは、3分の2の人たちを見つけるためのスクリーニングツールとして設計されています。

私たちの業界における最大のライバルは、コンプライアンスを守らない人たちです。

アメリカでは、難聴者の3分の2が何も対応できていません。

 

その理由のひとつは、

医師が「まあ、軽度だから心配ない。急ぐことはない」と言われるからです。

 

他の健康状態にも少し触れてみましょう。

 

 

アーケル:

はい、重要なことですね。2つのことを結びつけたいんです。冒頭で、あなたは、私の仕事は何ですか?と言いましたね。そして、私はまだ瓶の中に入っていない、と言いましたね。私の仕事の一部は、瓶の中に入らないことです。

 

私の目標は、スターキーや補聴器業界の瓶の中に入らないことです。

なぜなら、私がもたらす価値は、外部の視点だと思うからです。

スターキーがとても協力的であることに感謝しています。

私の仕事のひとつは、大学と協力し、メディアと協力し、健康の擁護者として働き続けることです。なぜなら、私は瓶の中にはまりたくないからです。

それではスターキーのためにならない。

 

外部からの視点を取り入れることで、価値をもたらすことができると思います。

 

 

 

いかがでしたか?

スターキーの最新補聴器Evolv AIにつながるストーリーは今後も更新していきます。

 

 

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