メガネが視力を補うように、補聴器も聴力を補い、身体の一部のように使用し続けるものです。メガネと異なるところは、補聴器が精密機器であること。そのため、使い続けると故障が発生することもあります。
加えて補聴器は電池を使用して作動する機器です。
電池の消費についても、経済的な観点から言っても気に留めておく必要があります。
補聴器は精密機器です。たくさんの細かい金属の部品でできています。
そのため、水分、油分は大敵です。
さらに体に密着させて使用するものなので、汗や耳あかなどで汚れてしまうことがあります。補聴器を快適に使用するためにも日々のお手入れが必要です。
補聴器の日常のお手入れは大きく3つにわけられます。
電池の消耗を防ぐため、使用していないときには補聴器から電池を外しましょう。
電池に汚れがついている場合は、しっかりと拭き取りましょう。
湿気は補聴器にとって大敵です。
電池を取った状態で、専用の乾燥ケースに入れて保管してください。
ただし、空気電池は乾燥に弱く消耗を早めてしまうので、乾燥ケースの中に一緒に保管しないようにしてください。
補聴器を長く使うためには、日々のお手入れがとても重要です。補聴器の性能を十分に発揮するためには、電池は重要です。車に例えるなら、補聴器本体がエンジンであり、電池はガソリンのようなもので、どちらも必要不可欠な存在です。
補聴器に使用される電池の基礎知識や、電池交換の方法を中心に説明していきます。
空気電池の特徴は、電極のプラス面に小さな穴が開いていることです。
この穴から空気が入ることで、空気電池は発電することができます。
空気に触れて空気電池が消耗しないように、未使用の空気電池はシールでプラス面の穴を塞いでいます。一度シールをはがして空気に触れてしまうと、電池が常に発電を行い、消耗されてしまいます。そのため、使用するまでシールは、はがさないようにしてください。
シールをはがしたあとは、すぐに補聴器につけずに、数十秒程空気に触れさせてから取り付けるようにすると発電時間が保たれ、電池が息切れすることなく補聴器から音が出るようになります。
寒いと体が思うように動かないことと同様に、空気電池も寒いところでは発電しにくくなります。冬場に空気電池を使用する際には、寒いところに置きっぱなしにしないようにしましょう。なるべく気温が5度以上の場所に置くようにしてください。
極端に空気電池が冷たい場合は、電池を手で少し温めてから使用してください。
補聴器に空気電池を取り付ける場合には、手の汚れは落としてから取り付けてください。
空気電池の形状は、ボタン電池です。市販のボタン電池には空気電池ではないものも多く販売されていますので、空気電池であるか確認してから購入するようにしてください。厚さや幅の違いにより、4種類の空気電池があります。これは世界共通の記号と数字で区分けされています。それぞれを判別する色も、どのメーカーの電池であっても万国共通となります。
種類は、小さなものから順番に、
・PR536(10A)・・・黄色
・PR41(312)・・・茶色
・PR48(13)・・・オレンジ
・PR44(675)・・・青色
この4種類があります。
車はガソリンが少なくなると、警告ランプで知らせてくれます。
補聴器も同様に、空気電池の残量が少なくなると、アラームで知らせてくれます。
スターキーの補聴器であれば「でんち」と言葉で話しかけてくれます。
補聴器の性能を十分に発揮するためには、補聴器メーカーが推奨している電池の使用がオススメです。ご不明な点は、補聴器の取扱説明書や購入した店舗にご確認ください。
スターキーは世界に先駆けて水銀ゼロ仕様を実現したレイオバック社の空気電池を推奨しています。
補聴器の手入れをしていても、電池の寿命が短い場合、補聴器の故障が考えられます。
故障する部分としては、以下があります。
・マイク
・イヤホン(レシーバー)
・アンプ(内部回路)
おかしいなと思ったら、早めに補聴器を購入した店舗で確認や修理してもらうことをおすすめします。
スターキーの補聴器であれば、スマホとつなげてセルフチェックでお店に行く前に自分で診断することもできます。
これまで補聴器には動力源として空気電池に頼るよりほか、現実的な方法がありませんでした。最近では補聴器にも充電システム対応のモデルが発売され、煩わしかった電池交換を克服できるようになってきました。現在、世界の補聴器市場で発表されているものには以下のような種類の充電システムがあります。主なメリット、デメリットも記載してみました。
日本の補聴器市場で発表されているリチウムイオン充電池に対応した補聴器は各社がオリジナルの充電システムとして発表しています。
・メリット
・電池を取り外すことがないので、防水性が高い
・充電可能数が銀亜鉛充電池より一般的に多い
・デメリット
・炎症性をもつ素材ベースのため、取扱いに十分注意する必要がある
・電池を取り外すことがないので、充電を忘れたら使えない
・充電池の交換はメーカーで行われるため、その際、自分の補聴器を預ける必要あり
2017年、日本の補聴器市場でも紹介されはじめた銀亜鉛充電池は一貫してZPower(ゼットパワー)社という電池を専門で扱う会社が発表した補聴器の充電システムです。(2021年現在、アメリカ民事再生法が適用され、ZPower社製銀亜鉛電池対応の補聴器は販売されていません)
・メリット
・水系素材のため、安全性が高い
・電池が取り外せるため、充電を忘れても使用できる(通常の空気電池を使用可能)
・補聴器メーカーを問わず、使用されているシステム
・デメリット
・電池が取り外せるため、防水性が低い。
・充電可能数はリチウムイオン電池より一般的に少ない。
現在は必然的にリチウムイオン電池対応に補聴器メーカーが全てならっている状況です。スマートフォンにも搭載されているリチウムイオン充電池が効率・パワーのどちらも兼ね備えているという結果がここ数年で出たのでしょう。
スターキー補聴器は世界で初めて、リチウムイオン充電式オーダーメイド耳あな型補聴器を発売したメーカーです。
ただリチウムイオン電池もスマートフォンやスマートウォッチの充電池寿命が徐々に短くなってしまうのと同じように、劣化してしまうと交換が必要になります。
メーカーによって交換方法や修理方法、それに伴うコストが変わるので、購入時に確かめてみると良いかもしれません。
補聴器は部品交換して修理することで、使い続けることができるようになっています。
しかし、新しい製品が出る一方で、古い製品はなくなっていくことも事実です。
補聴器メーカーは、古い製品の販売を終了しても、修理のために5年間は部品在庫を持つように努力していますが、部品を用意することができない場合には後継となる補聴器器種へ代替される場合もあります。
しかし、5年以上ご利用いただいていると修理費用も大きくなっていき、補聴器の性能も日進月歩で進んでいるので、修理するよりも買い替える方が良いという選択が出てきます。
年齢や老眼などにより視力の状態が変わると、今までかけていたメガネがあわなくなります。聴力もこれと同じように、年齢や聴力の状態により、今まで使用していた補聴器では聞き取りづらくなることがあります。このような場合、メガネはレンズを新しいものに交換しなくてはなりませんが、補聴器は聴力が低下しても、ある程度までは調整することで使用を続けることができます。
しかし、補聴器の調整だけでは対応ができなくなるほど聴力が低下してしまったり、どんなに調整しても補聴器からの音に満足できなくなっているようであれば、買い替えを検討しなくてはならない時期がきているのかもしれません。
関連記事:
(2023年6月更新)