難聴を対処せずに放置すると、生活の質に悪影響を及ぼすことが証明されています。難聴を放置すると、認知機能が低下し、入院、転倒、うつ病の発症率が高くなり、社会的孤立や認知症のリスクが高まるという研究結果があります。
これらの研究では、難聴を無視することで、社会的な交流、テレビや映画鑑賞、音楽や自然を楽しむことが難しくなり、生活に物足りなさを感じるようになることは考慮されていません。また、難聴を放置すると、身の安全が脅かされたり、仕事がやりにくくなったりもします。
しかし、難聴に気づいても、対処をしていない方がいます。
その場合は例えば、
相手にもう一度言ってもらったり、
テレビやラジオの音量を大きくしたり、
以前は楽しかった活動やイベントへ参加しないようにしたり・・・
などの対処方法を選ばざるをえません。
もちろん、難聴であることに気づいていない、あるいは納得していない可能性もあります。無意識のうちにそうした対処法をとっていたり、長い間、聴力測定を受けていなかったりするからと考えられます。
難聴と考えられるのに、対処を望まない友人や恋人がいる場合、どうすればよいのでしょうか?難聴者にはそれぞれ個性があり、アプローチの仕方も異なりますが、ここでは難聴者に補聴器の使用を勧めるためにできることをいくつかご紹介します。
何よりもまず、忍耐強く支えてあげてください。相手の立場で物事を考えることは難しいことですが、話を聞いたり、護ってあげたり、頼りになると感じてもらうことはできます。
難聴の影響を受けているのは、自分や身近な人だけではないことを、そっと伝えてください。それは、会話中に何度も繰り返して話さなければならないことへの苛立ちという単純なものかもしれません。また、重要な警告音や警報、ニュースなどの情報を聞き逃してしまうのではないかという不安もあります。ましてや難聴のような対処可能な症状で、大切な人が社会的に孤立したり、落ち込んだりするのは、誰も見たくないものです。
このブログの冒頭では、難聴に関連するQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)のリスクを紹介しました。しかし、他の研究でも難聴対処への効果が実証されていることを伝えてみましょう。例えば、成人が補聴器を装用した場合、生活の質が大幅に向上したことや、難聴の早期対処が認知症予防の最大の改善可能な危険因子であることなどを伝えましょう。
さらに、最新の補聴器は、転倒を自動的に検知し、介護者や家族にアラートを送ることができる唯一の補聴器です。
今日の補聴器は非常に小さく目立たないものになっており、耳に何かを装着することは珍しくないため、補聴器を装着していること自体ほとんど気づかれません。まだまだ躊躇される方もいらっしゃると思いますが、聞こえるというメリットを受けて、補聴器のスティグマ(偏見)は日に日に消えていっています。
聴力測定を定期的に受ける人が少ないため、自分が難聴であることに気づかない、あるいは納得できない人が多いこともわかっています。お友達や恋人に、お近くの補聴器専門店でより詳細な測定や耳の測定を受けることを勧めたりしましょう。
聴力測定を受けることに不安を感じる人もいるでしょう。
そのような場合には、一緒に予約を取れば、安心してもらえるかもしれません。
また、補聴器や難聴に関するウェブサイトをいくつか見て、役立つ情報をまとめてあげるのもいいでしょう。そうすることで、大切な人がより自信を持って予約に臨めるようになります。
最後に、大切な人が難聴の対処を受けるのをためらっていても、驚かないでください。優しく、一貫した対応を心がけましょう。補聴器を装用している人は、対処するまでに平均して10年かかると言われています。つまり、あなたの大切な人が耳の問題に気づいていても、対処のためにちょっとしたサポートを必要としている可能性は高いのです。そこで、あなたの出番です!
難聴の対処を受けるのが早ければ早いほど、良い聴こえを享受することができるようになります。