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男性よりも女性の方が聞こえが良い!?

補聴器販売の仕事をしていると、お客様の中にはご夫婦で来社され、奥様がご主人の聞こえ方に不満を漏らすことが稀にあります。奥様はこう仰ります。

 

主人は補聴器を使うようになって聞こえが良くなったはずなのに、

 

どうも私の話を聞いていないようなの・・・」と。

 

男性よりも女性の方が聞こえが良いという仮説があります。それは本当でしょうか?どの世代の夫婦間にもこのような疑問が持ち上がるようですが、実は、科学的にこの疑問への回答は用意されています。


Woman Smiling to a Man

 

女性と男性は「灰色と白色」の違い

ある研究結果で、男性と女性では聞こえ方が異なると報告されています。聞こえ方の違いとは、分かりやすく表現すると、“白と黒”のような話し方の違いでしょうか?

実は、”白と黒”ではなく、“白と灰色”の違いといった方がいいかもしれません。

 

私たちの脳は「灰白質(かいはくしつ)」と「白質」という二層の組織で構成されています。灰白質は情報を処理する神経細胞が集まった部分であり、白質は処理された情報を伝達するネットワークの部分になります。カルフォルニア大学アーバイン校とニューメキシコ大学の合同研究では、脳内の灰白質と白質の量において、男女差があることが分かりました。

 

この研究で、脳内の灰白質の体積では男性被験者が女性被験者より6倍多く、白質では女性被験者が男性被験者よりも10倍多いことが分かりました。男性被験者も女性被験者も知能の差に関係なく、これらの差が見られました。つまり、灰白質への大きな依存が男性に優れた「情報処理能力」を与え、白質体積の多いことが女性を「情報を取り入れたり、統合すること」を得意とさせているのではないかということがわかりました。

このような優れた能力が言語スキルに役立っていると考えられています。

 

脳内の中心で異なる活動を行っているにも関わらず、認知機能の程度は男女ともに同等です。情報の聞き方や取り入れ方は異なっていても、その違いが認知力や聴力に影響してはいないようです。つまり、聞こえ方の違いが聞こえの能力自体に影響を与える訳ではないということです。

 

言語処理について

身体の構造上では、耳に男女差はありません。でも、インディアナ大学医学部の研究でも、男性と女性で聴き取り方が異なると報告されています。この研究では、男女ともに読み上げられた同じ文章を聴き取り、その際の脳の活動をMRI画像に撮影します。撮影されたMRI画像から、多くの女性被験者に脳の両側面にある側頭葉の活動が観察されました。男性被験者にも同様に側頭葉に神経活動が見られましたが、活動は主に脳の左側に限定されました。科学者は聞こえと会話を担う部分は側頭葉の左側と考えており、右側の側頭葉は聞こえ以外の機能を処理していると考えています。

 

“研究では、男性と女性は言語処理が異なるが、必ずしも能力が違うことを意味していない”と研究者であるジョセフ・T・ルリト博士(放射線学科准教授)も報告しています。

 

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研究結果は男女間のコミュニケーション向上に応用できる?

コミュニケーションのスタイルに結び付く言語処理の違いについては、研究がまだまだ必要ですが、誰もが男性と女性とでは「聞くこと」や「コミュニケーションのスタイル」が違うと思っています。

 

例えば、男性は会話を聞いている時に、第一に問題解決や課題を終わらせる為に必要な情報に焦点をあてる傾向にあります。対して、女性は会話の口調など感情的な部分も含めて情報をもっと理解しようとします。・・・ですが、コミュニケーションのスタイルが直接「男女」のような身体的な相違と関係していることはまだはっきりと分かってはいません。

 

男性よりも女性の方が聞こえが良いという仮説は、女性の方が情報を取り入れる為により多くの情報を聞こうとしているからだと言えます。より多くの情報を取り入れることが聞こえの男女差に関係しているのかもしれません。

 

ご夫婦で会話される際、話が多少つまらなく感じても不満を言わないであげてください。これはお互いの聞こえ方の違いであり、脳内の組織の違いなのです。

 

※本記事内容はアメリカ本社の情報に基づいて構成されています。

 

トピック: 補聴器, 難聴と健康