(2025年1月14日更新)
補聴器を検討する時、よく補聴器のことを知っている方と接すると、
「両耳つけたほうがいいよ」
「片耳だけじゃ良くないよ」
などと言われることがあります。
なぜ、補聴器の両側装用が片側装用よりも効果的なのか、
3つのポイントで解説します。
1.聴力は使わないと衰弱していってしまうから
もし身体の器官の一部を使用しなくなると、使用しなくなった部位が衰弱するのは時間の問題で、委縮や退化さえも起こしてしまうことがあります。耳の場合も同様です。もし最適に聞こえていなかったり、両耳に常時、聴覚刺激が入ってこないと、音を処理する聴覚機能が徐々に減退し、回復することはより難しくなっていきます。
補聴器を両耳に装用すると、聴覚機能全体に適切で一貫した刺激を与えることができ、
この「聴力の廃用性」を予防し易くなります。
2.耳は2つあるのに、補聴器は1つで本当にいいの!?
「こっちの耳が悪いんです」
「良い方の耳に話して!」
似たような言葉を聞いたことはありませんか?
ヒトには2つの耳があり、難聴は耳によって、左右であっても症状が異なります。
実は両耳共に難聴であるケースが多いことはあまり気付かれていません。
両耳とも難聴であることは、片耳だけの難聴よりもはるかに多くの方にみられます。
3.より自然な聴き取りを体感できるから
はっきりと見えること、視野や奥行き等は、片目よりも両目の方が良いです。
「きこえ」にも同じことが言えます。
両耳で聞くと、より豊かでバランスの取れたきこえを得ることができます。
だからこそ、難聴に左右差があり、片耳のきこえが良いとしても、補聴器の両耳装用を検討することが重要です。日常での自然なきこえをより再現するように設計されている補聴器も現在はあるからです。
◆補聴器の両耳装用効果
左右の耳に補聴器を装用している人は以下の違いが分かります:
1.会話がより良く理解できます。
2.会話に集中し易くなるので、聞き逃しが少なくなります。
3.音の方向感覚が良くなります。
4.補聴器を左右に装用すると、音がどちらから来るのかをより確実に検知できるようになるので、様々な環境、特に交通量の多い場所などで役立ちます。
もちろん片耳だけ、1台の補聴器だけでも聴き取りは良くなります。
でも、雑音と言葉(会話音)の違いが分かり難く、同じように聞こえてしまう方も中にはいます。
補聴器を両耳に装用すると音の検知がより良くなり、可聴範囲が広くなります。
例えば、両耳装用すると、片耳だけに装用している時よりも、
可聴範囲や音を感じることができる距離を4倍も広げることができると言われています。
また、両耳装用は、聞こえてくる全ての音の音質を、
2つのスピーカーから聴こえてくる左右のバランスが取れた滑らかでメリハリのあるステレオ音響のような音質にしてくれます。これが補聴器への満足度を格段に向上させています。
アメリカの難聴に関する研究機関(Better Hearing Institite)の調査によると、補聴器を両耳装用している人の方が片耳装用している人よりも、満足度が極めて高いと報告されています。
購入するかどうかは別として、補聴器を検討する際、試聴する時はまず両耳で試聴をしてみることから始めてみましょう。
もし、あなたが改善したいとお考えならお手伝いします。ここに郵便番号を入力するだけで、補聴器技術を紹介、試聴可能なお近くの補聴器専門店リストを表示します。(補聴器の試聴には費用がかかる場合があります。)補聴器がどのように役立つのか、ご自身の耳で確かめてみませんか?
すぐにお店に行けない場合は、オンラインで5分で終わる聞こえのチェックをしてみましょう。
またご自身の耳の状態について相談できる方がいない場合、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が掲載している全国の補聴器相談医リストを確認してみてください。
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