厚生労働省では、毎年3月1日から8日までの1週間を「女性の健康週間」と定め、地方自治体や関連団体と一体になり、女性の健康づくりを国民運動として展開しています。女性特有の疾患があるように、難聴の疾患にも、女性の方が罹患（りかん）する割合が高いものがあります。耳硬化症、メニエール病、また近年では、低音障害型難聴など20～40代の若年層女性の罹患が多い難聴症状も報告されるようになってきています。難聴に限らず、多くの疾病において予防や早期発見による治療が可能です。ご自身の健康状態を知るためにも定期的な健康診断が必要です。

あなたは”サンドイッチ世代”の一人ではありませんか？

ところで、あなたの人生の中で「大切なもの」は何ですか？「家族」と答える方が圧倒的に多いでしょう。多くの人が、大切な家族のために、自分自身のことは後回しにしてでも、無私無欲で家族を世話していると思います。女性が結婚して出産すると、「女性」という役割だけでなく、「母」という役割も出てきます。家事や育児、町内会などの市民活動への参加など、思っている以上に忙しいのが現実です。女性の社会参加が多くなり、結婚・出産後も働く女性が増えてきました。現代女性が多忙であるにも関わらず、世の中には「女性は生まれながらに世話好きである」という固定観念が残っています。家族の世話には、親の介護も含まれます。子育てにおいては男性が協力してくれることで女性の負担は軽減されてきていますが、親の介護となると、少し状況が違っているようです。事実、「配偶者の介護」においては妻の負担の方が多く、「高齢の親の介護」に関しては、嫁や娘の負担が高いと調査結果が報告されています。

女性が結婚して家族を持つと、自分は「サンドイッチ世代」であることを自覚します。つまり、配偶者や子供だけでなく、自分や配偶者の両親をケアする必要があるからです。子供の世代と親の世代に挟まれている、つまり、自分は「サンドイッチのような世代」という訳です。

家族だけでなく、自分にも気配りしましょう

そんな「サンドイッチ世代」の女性は、やらなくてはならないことが多い反面、時間は限られており、自分自身の不調に対しては放置しがちです。多くの女性が予防のための医療サービスや検診を利用していません。その結果、気付いたときには大きな病気を発症していたということが起こっています。育児や介護をしている女性は、うつ、不安神経症、過剰なストレスの発生率が高いとも報告されています。また、個人の幸福感が低下するだけでなく、高血圧、免疫力の低下、死亡リスクの上昇も報告されています。このような身体的、精神的な健康へのリスクは、献身的に世話をしている時間に比例して上昇します。2003年に発表された調査報告では、自分自身の健康状態が「あまり良くない」と回答した女性の12％が育児や介護の協力をしてくれる人がいる女性、26％が単独で育児や介護をしている女性でした。（https://www.caregiver.org/women-and-caregiving-facts-and-figures（英語））

自分自身の健康にもっと積極的になりましょう！

家族の世話に多くの時間を費やした結果、ご自身の健康状態を悪化させてしまったら本末転倒です。大切な家族も、そのようなことは決して望んでいません。疾病の早期発見・予防のために、年に1回は健康診断を受けることをお勧めします。その際には、聴力検査も必ず受けましょう！健康診断での簡易的な聴力検査は、難聴発見のきっかけになり、貴方に適した治療法を見つける手立てにはなります。視力検査の結果が良くなかったら、眼科やメガネ店に行って、詳細な測定をしてもらいます。それと同じように、聴力においても、耳鼻科や補聴器販売店に行って相談することをおすすめいたします。視力などの感覚と同様に、難聴を積極的に改善することで、体力的、精神的にも、健康に良い影響を与え、生活の質（QOL)を向上させます。

もちろん、健康診断を待つ必要はありません。なんとなく「きこえ」に不安を感じたら、お近くの「きこえの専門家」にお気軽にご相談してみてください。スターキー製品のお取り扱い販売店は下記より検索いただけます。

• Kochkin, S. (n. d.). The impact of treated hearing loss on quality of life. Retrieved from:http://www.betterhearing.org/hearingpedia/counseling-articles-tips/impact-treated-hearing-loss-quality-life 
• Lee, S. L., Colditz, G. A., Berkman, L. F., & Kawachi, I. (2003). Caregiving and risk of coronary heart disease in U.S. women: A prospective study. American Journal of Preventive Medicine, 24(2), 113–119.
• Marks, N., Lambert, J. D., & Choi, H. (2002). Transitions to caregiving, gender, and psychological well-being: A prospective U.S. national study. Journal of Marriage and Family, 64, 657–667.
• Family Caregiver Alliance. (2003, Dec. 31). Women and Caregiving: Facts and Figures. Retrieved from: https://www.caregiver.org/women-and-caregiving-facts-and-figures