米国ブランダイス大学神経科学教授のアーサー・ウィングフィールド博士は、長年に渡り、聴力と記憶力の関係性について研究しています。ウィングフィールド博士の研究から、難聴を治療しないままでいると、人は会話を理解して記録することができても、その情報を記憶する能力は低下することが分かっています。
❝難聴を治療しないことによる「聞く」ための労力は、ストレスの増加と記憶力検査の成績不振に関連しています❞
ウィングフィールド博士が考える記憶障害の原因とは、簡単に言うと、脳の機能している部分が引き伸ばされて薄くなっていることです。博士はこうも言っています。「たとえ軽度の難聴者であったとしても、周りの人が何を話しているのかに気付き、理解するだけでも非常に労力を使います。聞いていたことを記憶に残すことから脳の機能をそらすことになります。」
記憶力の維持のために
記憶力の維持のためには、身体を動かす動作と思考とを同時に行うことが良いとされています。
例えば、音楽を奏でたり、ダンスをしたりなど動作を繰り返すことで記憶力が維持されることもあります。また人に覚えたことを初めから丁寧に説明したりということが有効とされています。
お気づきでしょうか、そのどれもが聴覚機能なしにはできないことを。
難聴症状が見られてくると、聴覚能力に注意して脳に余計な負担をかけてしまっているが故に、それ以上の労力となる思考や動作が緩慢になり、それが記憶力に影響を与える可能性があるのです。
難聴だから「記憶力が低下した」とならないために・・・
ウィングフィールド博士は、専門家による定期的な聴力検査を毎年受けることを勧めています。もし難聴が発見されたら、そのことを真摯に受け止めることで、専門家と一緒に治療に取り組むきっかけにもなります。ぜひ、毎年受ける定期健診の一環として、積極的に聴力検査に取り組みましょう。