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トピック

これからは健康寿命を延ばしましょう

日本人が「長生き」であることは、よく知られている事実です。

長生きすることイメージ 

厚生労働省が2017年3月発表したデータによると、日本人の平均寿命は男性が80.75歳、女性が86.99歳であり、日本は世界でも屈指の長寿国と言えます。長生きできることは喜ばしいことですが、現実は、誰もが健康に最期のときを迎えることはできず、身体機能や認知機能の低下によって日常生活に支障をきたす他、何らかの病気で闘病生活を送る人も少なくはありません。

 

そこで推進されているのが、「健康寿命」をできるだけ長く維持することです。

 


◆ 健康寿命って何?

そもそも健康寿命とはどういったものなのでしょうか。平均寿命との違いや、数値、算出方法などをお伝えしていきましょう。

 

➢ 平均寿命と健康寿命

平均寿命は「人が亡くなる年齢」の平均値です。その中には、大きな病気をした人もいれば、認知症などで長く療養した人も含まれています。一方、健康寿命とは、世界保健機関(WHO)が2000年に提唱した概念であり、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。後ほど詳しく説明しますが、厚生労働省が定めた算定プログラムに基づいてデータが収集され、健康寿命が算出されています。

 

平均寿命と健康寿命の差が示すのは、何らかの治療や介護を要したり、健康面の不具合から生活に支障が出たりしている期間ということになります。つまり、「健康ではない=不健康」な期間ということです。


➢ 数値の年別推移(男女)

2010年の厚生労働省の調査によると、男女ともに、2001年から2010年までの平均寿命の延びに比べて、健康寿命の延びの方が小さいという結果が出ています。

 

平均寿命は2013年以降も延びていくことが予測されています。今後も平均寿命の延びに比べて健康寿命の延びが少ないということは、それだけ不健康な期間が増えるということを意味します。個人の生活の質の低下だけではなく、家族の負担や、社会的な負担を減らすためにも、健康寿命を延ばすことが必要とされています。


➢ 健康寿命の算定プログラム

国民の健康寿命を算出するために用いられているのが、健康寿命の算定プログラムです。健康寿命を正確に調べるためには、人が生まれてから亡くなるまで約100年間の調査を行うことになりますが、この調査を国民全員に行うことは現実的ではありません。そのため目的や測定方法を定めて、現時点で得られるデータを使って仮説的に算定します。年齢や性別といった基礎的なデータ及び、質問紙を用いた自己申告型のデータを収集して算定を行っています。


➢ 都道府県別の健康寿命

2015年の都道府県別の健康寿命ランキングでは、男女ともに第1位は山梨県で男性が72.52歳、女性が75.78歳という結果となっています。2010年の調査では、男性は愛知県、女性は静岡県で、山梨県は男性が第5位、女性が第12位でしたので、大きく順位を上げたことになります。一方、ワースト1位は男性が徳島県の69.5歳、女性が大阪の72.49歳でした。


➢ 世界では英語ではなんて呼ばれているの?

健康寿命の定義はWHOが提唱したものですから、もちろん海外でも用いられています。英語ではHealth expectancyあるいは、Healthy life expectancyという表現が用いられているようです。ちなみに、WHOの発表によると、2015年の世界全体の平均健康寿命は63.1歳でした。

 

健康寿命への道イメージ

 

 

◆健康寿命を延ばす

政府が進めている健康増進計画である「健康日本21」の第2次計画に、健康寿命を延ばす目標が初めて盛り込まれました。がん予防や、運動の促進、食生活の改善など、幅広い分野について改善を目指しています。

 

➢ 健康寿命を延ばす方法

健康寿命を延ばすために、実際の生活で心がけることを挙げていきましょう。

  
 □生活習慣改善

栄養バランスの偏りが少なく、規則正しい食事、十分な睡眠など、基本的な生活習慣の改善が大切です。またタバコについても、健康リスクが高いものですから禁煙が望ましいでしょう。

 

 □運動

適度な運動は心肺機能の維持や肥満の予防にもなります。そのほか、運動は、認知機能や心理面などへ良い影響も与えます。近年注目されているのが、ロコモティブシンドロームです。骨や筋肉、関節、軟骨など、運動器のいずれか、あるいは複数に問題が起こり、座る、立つ、歩くなどの基本動作や生活に支障が出てしまうことをいいます。ロコモティブシンドロームをそのままにしておくと、生活面だけではなく、外出や余暇活動にも影響を与えてしまいます。運動によって、このロコモティブシンドロームを予防することも大切です。

 健康のためにヨガをしているイメージ

 

 □自立 働くことの重要性

 

身の回りのことを、できるだけ自分でしたいという人は多いものです。健康寿命を延ばすという観点から、できるだけ自立して過ごすということは非常に重要です。また、仕事などを通して社会的な役割を果たすことも大切でしょう。他者との交流が生まれる他、頼りにされる、あるいは自立して生活をしていることへの張り合いや、責任感も保たれます。健康寿命を延ばすためには、身体の健康面はもちろん、心理的な健康も、保っていくことが大切になります。

 いつまでも現役で活き活きと働く高齢者のイメージ


➢ 健康寿命を縮める要因

健康寿命を縮める要因にどのようなものがあるか考えてみましょう。上記に挙げた内容の対局に当たるものが考えられます。不規則な生活や暴飲暴食、運動不足等は、肥満や糖尿病などの生活習慣病に繋がります。また、喫煙についても健康被害は大きいでしょう。また、ロコモティブシンドロームの発症は、日常生活の不便さだけではなく、これまで行っていた余暇活動の機会を狭めます。そのほか、過度なストレスも避けたい要因でしょう。

 


◆ 世界の健康寿命

2016年の世界保健統計によると、日本は健康寿命世界ランキング1位でした。そのほか世界で注目した国をいくつか挙げてみましょう。

 

➢ シンガポール

シンガポールは2016年以前のランキングでは、日本を抑えて1位になるほど健康寿命が長い国です。2000年以降、医療構造を整備し、国民が安定した医療が受けられるようになったためと言われています。

 

➢ アメリカ

アメリカは意外にも健康寿命は短く、世界ランキングでは第36位でした。平均寿命に関しても、他の先進国に比べて第31位と低いです。近年、生活習慣、特に食生活の見直しが叫ばれ、健康志向の人々が増えてきていますので、健康寿命の変化も期待できるのではないでしょうか。

 

➢ スイス

健康寿命、平均寿命ともに、ヨーロッパのランキング1位の国です。日本国内でも長野県や山梨県など高地に住む人々は健康寿命や平均寿命が高い傾向があります。これは山岳地帯であるスイスでも同じことが言えるかもしれません。スイスは医療サービスが高水準なのですが、高い水準の医療うけるためには非常に費用が掛かります。そのため、健康を維持するために、精神面だけでなく、経済面・生活面でも自立したお年寄りが多いと言われています。

 

➢ アイスランド、オーストラリア

 アイスランド、オーストラリアはともに、平均寿命や健康寿命のランキングは毎回上位に入っています。直接的には関係していないのかもしれませんが、WHOの発表では、両国ともに、PM2.5濃度が低い国の世界ランキング1位(アイスランド)と3位(オーストラリア)です。空気が綺麗な環境で安心して生活できることが健康維持に一役かっているのではないでしょうか。

 

 

◆ 健康寿命と難聴

高齢になってくると徐々に衰えてくるのは、運動機能だけではありません。難聴には、先天的な難聴や、突発性の難聴もありますが、誰しも避けられないのが加齢による難聴です。年をとるにつれて、聴覚に関係する細胞が、少なくなっていくことがわかっています。聴覚の衰えはコミュニケーションのしづらさや、テレビの音が聞こえないといった生活の不便さのほか、認知面や心理面への影響も与えます。


 ➢ 難聴と健康

聴覚が衰えてくると、テレビの音が聞こえない、会話が成立しづらい、相手の言っていることが理解できないなどコミュニケーションの問題が起こりやすくなります。こういったコミュニケーションのしづらさは、人との交流の機会を減らします。また、「聞き返してばかりだと、嫌な顔をされるのではないか」「何を言われているかわからないから不安」など、心理的な面にも影響を与えるでしょう。これでは、運動機能を健康的に維持できていても、外出することが段々と億劫になりかねません。また、厚生労働省の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)において、難聴が認知症を発症させる危険因子の一つであることが挙げられています。記憶障害や認知機能の低下を予防するためにも、難聴をそのままにしておかない方がよいことが分かっています。(2017年1月に行われた国際シンポジウムの採録より

 

 ➢ 補聴器の役割

補聴器は、難聴の程度に合わせて、最適かつ快適に聞えるように調整したものを装用し、きちんとメンテナンスしていくことで、難聴による不具合を改善できる可能性を秘めています。加齢による難聴は、補聴器を装用しても若かりし頃の聴覚の程度まで戻すことは難しいのです。でも、以前は行えていた事柄を「また行えるようにする」ことは可能です。老眼鏡を早めに掛けて目を慣らすことで症状の進行を遅らせることができるように、補聴器も早め早めに装用すると難聴の進行を遅らせることができる可能性があります。難聴の予防が健康維持に繋がり、その結果、健康寿命を延ばすことができることでしょう。

 

若い男女がヨガをしている健康的なイメージ

トピック: 難聴と健康, はじめての補聴器