オハイオ州立大学から発表された最新の研究(英語)によると、わずかな難聴になった若者の脳機能に、通常は高齢者にしか見られないような変化が起きていることが発見されました。これらは若者の認知症の発症リスクを増大させている可能性があることが分かりました。
研究者のユン・リーと彼のチームは18歳から41歳までの被験者に対して、順を追って複雑になる文章を聴いている時の脳の活動を観察しました。研究チームの目的は、より複雑なメッセージを聴く時に、脳は処理に時間が掛かるほど懸命に働くのかを知ることでした。
しかし、それよりも彼らが予期せずに発見したのは、わずかな難聴が見られた若い被験者の脳に、右前頭皮質の活動を示したことでした。(※被験者は全員 試験前に聴力測定をしています)この部位は、通常はずっと年齢が高くならなければ言語の処理には使われないのです。
難聴と認知症の繋がりが知られています
難聴と認知症の繋がりを示す証拠(英語)から、この発見は非常に憂慮すべきものであるとユン・リーは述べています。「聞くことに全てのエネルギーを振り向けてしまったら、本来は他の事、すなわち記憶したり注意を向けたりすることに使える認知機能のリソースを使い果たしてしまいます。」さらにユン・リーは、研究結果が示唆しているのは、例えば何時間も大音量の音楽をヘッドホンで聴いていたことが原因で、若い時にわずかな難聴が起きてしまうと、それは若いうちに定年退職金を引き出してしまうようなものだ、と述べています。それは人生の後の方で必要になるお金です。
この研究結果は、なぜ全ての年齢の人にとって難聴予防と定期的な聴力測定が大切なのか、そしてなぜ難聴は早期に対処することが必要なのか、これらの理由を明確に示していると考えられます。
↑耳のこと、補聴器のことについて詳しく書かれた「きこえ」のガイドブックは
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