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【聴覚ヘルスケアの未来】アメリカ本社 ブランドン社長が語る今後10年の展望

新年あけましておめでとうございます。今年もHBLBブログをよろしくお願い致します。

 

さて、2020年初ブログ!今回はアメリカ本社スターキー・ヒアリング・テクノロジーズの社長であるブランドン・サワリッチとHearing Health & Technology MattersのCEOケビン・リーベ氏の対談をご紹介いたします。2020年代のスターキーの展望、今後の聴覚ヘルスケア業界についてなど、様々なことが語られています。

 

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ケビン・リーベ氏

 

 

 

 

 

Kevin Liebe(ケビン・リーベ)AuD

Hearing Health&Technology MattersのCEO、オージオロジスト。ワシントン州立大学で言語聴覚学の学士号を取得後、西ミシガン大学にて聴覚学の博士号を取得。アメリカ聴覚学アカデミー(American Academy of Audiology:AAA)の特別研究員であり、ワシントン州聴覚学アカデミー(Washington State Academy of Audiology)の元理事。

 

 

ブランドン・サワリッチ

 

 

 

ブランドン・サワリッチ

世界に26以上の施設を持つ6,000人以上の従業員からなるスターキー・ヒアリング・テクノロジーズの社長。

Hearing Industries Association(HIT)の会長であり、ジョージ・Wブッシュ大統領センター(George W. Bush Presidential Center)のエグゼクティブ・アドバイザー・カウンセルも務める。

 

 

 

 

ケビン・リーベ(以下ケビン):いよいよOTC補聴器が2020年から販売開始されますが、個人で経営されている、きこえの専門家や販売店に、何かアドバイスはありますか?

 

※OTC補聴器…使用者が、きこえの専門家による調整を経ずに購入して使用するタイプの補聴器

 

ブランドン:スターキーは、きこえの専門家を通したほうが、よりよいきこえが得られると信じています。恐らくOTC補聴器の登場は私達の業界に混乱を招くと思いますが、決して新しい概念ではありません。90年代には補聴器のカタログ販売は行われていましたし、2000年代にはSongbirdから使い捨て補聴器が登場しました。そして、2010年代はPSAP(Personal sound amplification products)とOTC補聴器が登場しました。混乱は常に存在しますし、人々の生活をより良い方向へ導いている存在として、受け入れるべきです。これは物事の変化を受け入れる練習でもあるのです。

 

 

ケビン:過去の傾向と比較すると、人々は聴覚ヘルスケアを含む今日の医療に、積極的に関わるようになりました。これにより将来、聴覚ヘルスケアがどのように変化していくと思いますか?

 

ブランドン:私の25年の聴覚ヘルスケア業界での経験を通して思うことは、サービスのアプローチ方法が「補聴器ユーザー中心のケア」から「補聴器ユーザー主導のケア」へと変化してきたことです。

現在、よりよいきこえを求めている人々は、きこえの専門家と会う前に、インターネットで検索を行います。それから試聴の段階に足を踏み入れると、補聴器の購入についてではなく健康のアドバイスを求めてきます。人々は補聴器を買う前に、自分を助けてもらいたいのです。

この業界では長年、電話によるサービスケアも行われてきました。現在、スターキーの製品では遠隔プログラミング・サービスを利用することができますが、きこえの専門家だけでなく補聴器ユーザーも、この最新のテクノロジーに適応するために時間がかかるようです。多くのきこえの専門家は、このサービスを採用していません。適応には今後3~5年かかるとみています。

 

 

ケビン:近年スターキーは人工知能(AI)とセンサー技術(例:転倒検出通知機能)の開発にを注力してきました。この技術は、補聴器業界の未来を代表すると信じてもいいでしょうか?

 

ブランドン:真のAI機能を備えたテクノロジーではないのに、「AI」という用語を多用する企業があります。スターキーはAIと3Dセンサーが補聴器に組み込まれています。私達は大幅な技術の進歩により補聴器を再発明しました。ビル・オースティンと私は「これ以上、斬新な補聴器の進化は今までにない」と意見が合致しました。

 

スターキーの過去10年間の動向を考えてみてください。Made for iPhone補聴器IIC補聴器の登場を超えた我々スターキーの最大の進歩は何でしたか?きっと、あなたはちょっとした進歩を思い浮かばれると思います。例えば、ブランド・ロゴの変更とか…。実は、指向性マイクの改善、フィードバック・キャンセレーションの改善があったことは知っていましたか?

 

私達はこの業界の氷河期が終わらないことにウンザリし、それを変えたいと常に思っていました。スターキーが世界のきこえの向上にさらに注力することを望んでいました。新しい「ヘルサブル」テクノロジーの開発も必要でした。そこで、私は新しい才能を発掘し採用しました。これにより、身体や脳の活動を追跡する機能やパーソナルアシスタント機能など、健康とトレンド製品の機能を1つの補聴器に統合したデバイスを開発することができました。そして、これらの機能と業界をリードするきこえのテクノロジーを組み合わせることで、補聴器を単一目的(きこえだけ)のデバイスから、どのような人でも使える多目的デバイスへと進化させました。

 

ケビン:このタイプの技術は、今後数年間でどのように進化しますか?

 

ブランドン:AIは私達の業界を進化させるものと思われますが、私は新しいチップの開発に、大きな進歩がもたらされると考えています。新しい補聴器が開発されると、今の製品と機能は過去のものになります。スターキーの新しい課題の1つは、さらなる音質の追求、シームレスなワイヤレス接続、補聴器ユーザーにとって最高のアプリ体験の提供です。数か月前、当社のアーチン・ボーミックCTOは「今後、ワイヤレスの接続に関して業界で大きなバトルがあるかもしれない」と述べています。

ワイヤレスの接続の強化について我々は積極的に取り組んでいますが、強化には時間がかかります。AirPodと同じくらい簡単に補聴器をペアリングできたらどうでしょう。ですが、AirPodと補聴器を比較することはリンゴとオレンジを比較するようなものです。AIと今後の技術により、スターキーは補聴器のハードウェアの面だけでなく全体的な聴覚エコシステムを補聴器ユーザーに提供していきます。

 

 

ケビン:今後5年または10年を展望し、補聴器業界の最大のチャンスは何だと思いますか?

 

ブランドン:現在、私達の業界は良い状態であるとは言えません。世界は高齢化し続けていますし、テクノロジーは進歩しています。業界はこの現状を受け入れるべきです。しかし、この状況はきこえの専門家が聴覚医療全体の進歩のために協力し合う最大のチャンスなのです。我々は業界がよりよくなるために動いていく必要があります。

つまり、補聴器販売店がフィッティング・スキルを保ち、フィッティングに没頭できるようにすることです。2004年、業界の約85%が耳あな型補聴器で、この傾向に疑問を持つ人は誰もいませんでした。現在、耳あな型補聴器を選ばれる方は少なくなっています。OTC補聴器との違いを出し、補聴器専門店が優位性を保つためには、耳あな型補聴器の提供がソリューションの1つとなるでしょう。

 

ケビン:今後5年または10年を展望し、補聴器業界の最大のリスクは何だと思いますか?

 

ブランドン:これはよく聞かれる素晴らしい質問です。私は補聴器メーカー、きこえの専門家、関連団体は、よりよいきこえと高度なテクノロジー、フィッティング・スキルに焦点を合わせる必要があると考えています。

この業界は成長する準備は整っていますが、起爆剤がありません。なので、私達は一生懸命取り組まなければなりません。もちろんメーカーはマーケットシェアの拡大と収益の増加を望んでいます。新しい製品を提供するために競い合うのではなく、スタッフの教育、補聴器ユーザーとスタッフのカウンセリング術の向上などに焦点を合わせる必要があります。業界はこの「小さな爆発ボタン」に満足することはないでしょう。単純なこと過ぎて、成長がない、前進しないと思っているからです。私達は業界の考えとは別の考えを持つ必要があります。

 

 

ケビン:補聴器業界について、人々が最も誤解していることは何だと思いますか?

 

「補聴器は高価で6,000ドル(約60万円)かかります」ということです。私は国の行政機関、州や市の議会メンバー、ディレクター、スタッフ、メディアなど多くの人と話してきました。彼らは聴覚ヘルスケア・モデルの重要性を理解していないので、私達は業界の一員として努力する必要があります。

 

Roy Sullivan博士は、かつて私にこう言いました「製品は料金の1/3に過ぎない。自分のキャリア、サービス、今後のケアを含めて、ユーザーに補聴器を販売しています」と。しかし、これを補聴器ユーザーに対して簡単に言うことはできません。補聴器には様々なテクノロジー・レベルや価格帯があります。6,000ドルという価格はメディアが最も使用したがる数字のようです。私は過去3年間ワシントンD.Cで多くのことを学びました。HIAの会長として、補聴器ユーザーの理解を得る教育と安全の提供が私達の最重要事項です。補聴器ユーザーが最適な補聴器を見つけるためにも、私達はメディアに対しても教育する必要があると思っています。

 

私はOTC補聴器の登場を受け入れてはいますが、私が話してきたすべての米国上院議員、下院議員の意見は一貫性を保っています。私の懸念は業界での競争ではなく、今回のOTC補聴器に関する法案が正しくなかった場合に、マーケットにもたらす混乱です。議員の方々がまったく意図していなかった結果が生じる可能性もあるのです。

 

 

ケビン:ここ数年、多くの補聴器メーカーの合併を目の当たりにしてきました。この傾向はどう思われますか?

 

ブランドン:私は、このことについて言及することはできませんが、スターキーとして言えることは、我々は世界のきこえのため常に邁進しているということです。

 

 

ケビン:スターキーは、今後テクノロジーや会社の運営をさらに高めるために何か検討していることはありますか?

 

2017年に私が社長として初めて社員に提供したガイダンスの中に、1人で物事を考えることはやめようと明記しました。スターキーは、高品質の補聴器の製造、ヘルサブルを提供する革新的な技術を持つメーカーとして、サプライヤー企業との提携に注力しています。

スターキーは、補聴器を再定義するプロジェクトにおいて、有名なグローバル・テクノロジー企業との関係を発展させてきました。私達は常に積極的な状態でなければなりません。

 

 

ケビン:数年前、スターキーが大企業に売却・買収されるという噂がありました。また、中小企業は世界規模で私達の業界で競争力はないと信じている人もいます。あなたは、この意見をどう思われますか?

 

ブランドン:私はビル・オースティン氏と知り合い30年以上になります。オースティン夫人を除く、誰よりも彼の周りにいたと思っています。彼が自分の子供であるスターキーを売却することについて1度も言及したことはありません。

スターキーは明確なビジョン・価値・目的を備えた会社です。私達は非公開株式会社です。また合併に興味はありません。スターキーでは、今後10年の展望を決定しています。私達の目標は明確で、持続可能で収益性のある永続的な組織として成長し続けることです。私達は補聴器ユーザーときこえの専門家にとって最適なメーカーでありつづけることに焦点を当てています。

 

思いやりのある従業員チーム、最先端のテクノロジー、そして補聴器ユーザーのことを気遣う素晴らしい補聴器販売店とともに、スターキーはグローバルに成長し続けることを楽しみにしています。私は、2020年代が業界にとって最高の10年になると信じています。

 

ケビン:ブランドン、私達とあなたの視点を共有してくれてありがとう。

 

ブランドン:こちらこそ貴重な機会を与えていただきありがとう。この業界のためにも、私達1人1人が一緒になって取り組んでいきましょう!

 

 

 

 

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