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アップルのAirPods(エアポッド)から未来の補聴器が見えてくる!?

スターキーのカリフォルニア・バークレーにある研究所(=スターキーヒアリングリサーチセンター)ではどんなことが行われているかご存知ですか?今回は研究所で実際に行われた実験を取り上げた記事をご紹介させていただきます。アメリカで発行されている日刊新聞、サンフランシスコ・クロニクルに紹介された記事から抜粋してご紹介します。
 
ヘイロー2とアイフォーン、アップルウォッチのイメージ写真
実験アシスタントのレベッカ・ブルックナーとオージオロジー研究者のプラガティ・マンディカル・ヴァスキは、バークレーにあるスターキー・ヒアリングリサーチセンターで脳波測定用キャップのデモを行っています。
 

補聴器が負わされてきたイメージ

補聴器は長い間、かさばり、格好悪く、老いによる死を想い起こさせる、といったネガティブなイメージを負わされてきました。「それは誰もが認めたくない『老い』のサインなのです。」と、スターキー・ヒアリング・テクノロジーズのバークレー研究所で上席研究責任者を務めるサイモン・カーライルは言います。

 

しかし、ヘッドホンやイヤホンがスタイリッシュなものと見られるようになったように、現代生活の多機能アクセサリーの出現によって新しい可能性が生まれようとしています。多くの企業が人工知能を始めとする先端技術を駆使して聴覚損失の問題に取り組んでいます。そして、スタンフォードハーバードといった研究機関の医学研究者は幹細胞、遺伝子、分子治療の道を追い求め、聴覚の衰えの根本原因である内耳の損傷を生物学的に修復しようと試みています。

 

アメリカ国立衛生研究所によれば、補聴器の使用が有効なはずの人のおよそ20%ほどしか、実際に補聴器を使用していません。理由の一つが価格です。平均的な補聴器の価格は1,500ドルで、最高級器種では5,000ドルで売られています。通常、医療保険ではカバーされません。(日本円で考えると平均単価15万円相当、アメリカも日本市場とも大きな価格面での印象差はありません)

 

アップルのAirPods(エアポッド)やサムスンのGear IconXのような一般消費者用の高級ワイヤレスイヤホンは、耳に入れるデバイスを消費者の憧れのアイテムに変えつつあります。音声で操作するデジタル機器でコミュニケーションし、音楽を楽しむことが一般的になれば、補聴器に対する抵抗感は小さくなる、とカーライルは言っています。スターキーの最新のスマートワイヤレス補聴器「Halo 2(ヘイロー2)」は、Bluetoothを利用するスマートホン用のヘッドセットにもなります。現在のHalo2のラインナップは一番高いもので48万円、安いもので24万円からとなり、決して安くはありませんが、管理医療機器クラスⅡに属するスマホとつながる補聴器の中では、決して特別高い状況でもありません。むしろ、機器の購入だけでなく、専門家の長期的(多くがその後の人生の全ての期間)サポートされる状況下においてはまさに「自分の耳」となる医療機器としては相応の価値と言えるかもしれません。
 
 

補聴器が脳波を捉える

スターキーの研究所では、カーライルと彼のチームが脳情報のセンシング技術を研究しています。この技術は今後5-6年で補聴器の機能を大きく広げる可能性を持っています。彼らが解決しようとしている大きな問題の一つが、「カクテルパーティ問題」です。補聴器が音声を増幅するときに、人混みの中で2名以上の相手と会話しようとすると、補聴器によってノイズばかりが増幅されてしまうことがあります。研究者は、円形の電極を多数配置した頭蓋キャップを使って脳波の活動を測定し、騒がしい環境の中で被験者がどの発話者の声を聴こうとしているのかを突きとめます。彼らは、特定の発話者から来る音声を増幅し、それ以外の音を増幅の対象から外すことを補聴器が機械学習で自ら学ぶようにしたいと考えています。

 

 

脳情報のセンシングを行う実験モデルの頭蓋キャップのイメージ
Photo: Michael Macor, The Chronicle

トピック: 補聴器, ヒアラブル