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トピック

未来の補聴器シリーズ(第1回)

先週、ハイブリッド充電式補聴器の紹介がありましたが、昨今の状況を振り返ると、それとも関連するウェアラブル技術の革新的な進歩があり、「ウェアラブル」端末や「ヒアラブル」端末が、互いに交信することで、体重管理やエクササイズのデータ、心拍数など、健康やライフスタイルの向上に役立つようになり、絶対に手に入れたいガジェット(デバイス)として知られるようになってきました。

 

我々スターキーも近い将来、ヒアラブル端末の一端を担うようになることがわかってきています。ヒアラブルな未来がどのようになっていくのか、研究者の展望からサイモン・カーライル(スターキーR&D(研究開発)部門の最高責任者)がその中身をブログを通してご紹介しましょう。

 

未来のイメージ

 

インフォームド・ドリーミングが生み出す未来

私の日々の仕事の一部は夢を見ることです。単に楽しく空想しているのでなく、規律を守り集中して実現させるための夢を見ています!これを、私は、インフォームド・ドリーミング(情報に基づいた夢を見ること)と呼び、私の仕事の中で最も重要な部分のいくつかに不可欠であると信じています。なぜなら、私のやっていることは未来を生み出すことだからです。未来全体のことではなく、そのたった一部分ではあるのですが、それはとても重要な一部分です。スターキーの研究部門の最高責任者として、未来を心に思い描くことが、将来において最高のヒアラブル技術をデザインするために必要不可欠な部分です。

 

 

補聴器、最近ではヒアラブル端末と呼んでいるものは、ここ二十年ほどの間に信じられないくらい大きく変化しました。アナログからデジタルへの変化によって、マルチバンド・コンプレッション(マルチ圧縮)、フィードバック・キャンセレーション(ハウリング抑制)、ノイズ・リダクション(騒音抑制)、スピーチ・エンハンスメント(会話強調機能)、環境適応など、聴き取り能力と明瞭性を著しく向上させる多くの技術が生まれる新しい時代が到来しました。

 

ワイヤレスとBluetoothは、スマートフォンやスマートウォッチでコントロールする直接的なコミュニケーションを可能にし、高度な指向性技術、バイノーラルリンク、空間認識、そしてノイズの中から音声をより明瞭に分離する新しいノイズリダクション技術など、次世代技術への大きな足がかりになっています。スマートワイヤレス補聴器Haloは、ワイヤレス技術でカスタムセッティングを行うことができ、GPSを使って特定の場所でメモリーからセッティングを呼び出すこともできます。目に見えない制御機能を提供するに加えて、ハンズフリーの音楽ストリーミングなどのエンターテインメントの要素も加わりました。旧時代の補聴器から新世代のヒアラブルへの変化です。そして、これらの技術がもたらす変化はこれだけで終わりません。 

 

次の大きな一歩とは何でしょうか。答えは研究の中にあります。それは今のプラットフォームや技術の能力の手近な改良ではなく、一段上のレベルに上げるものであり、更に先を見据えたものになるでしょう。10年先、あるいは5年先であっても、私たちの製品が使われる未来の技術環境については想像を逞しくしなければなりません。そこはインフォームド・ドリーミングが形になる場所です。未来を予言するのは冒険的なことですが、私たちがスターキーで行う応用研究のためには欠かせない要素なのです。

 

 

 

その未来は、どのように見えるのでしょうか。古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトス(「暗い哲学者」あるいは「泣く哲学者」として知られる)は、唯一の変わらぬこととは物事は変化するということ、と書いています。プラトンはこれを引用し「同じ川に二度入ることは出来ない」と言っています。ヘラクレイトスは、川の流れがいかに速くなり得るかについて想像できなかったことでしょう。それはすべてを洗い流し、新しい何かのために道を開く激しい流れです。今の時代、瞬きする間にも川の流れによって風景が一変してしまうのです。

 

現在、研究の中で私たちがしている事は、科学と、世界中の数百万の科学者の研究成果に基づいています。今日の科学的知見の大きさは、査読を受けた論文の数から推定できます。著名な科学誌Nature(ネイチャー)によれば、昨年のうちに180万件の論文が査読され、28,000の科学誌に掲載されました。さらに言えば、この数字は毎年平均9%のペースで増加しています。これは、科学的知識は9年間で2倍に増えることを意味します。こうなると、10年後の私たちはオズの魔法使いのドロシーのように、今いる場所ではなくて見たことのない場所に自分がいることにいきなりなっても驚くべきこととは言えません。

 

科学的発見という激流がもたらす可能性がイノベーションを生み出すには、科学的なコミュニケーションが欠かせないということを理解することが大切です。

 

近い未来に関していえば、IoTの時代です。世界中の物が相互接続され通信し合うのみならず、私たちが膨大な種類のセンサーやデータ収集装置を身につけて、この世界のより豊かで詳細な姿をリアルタイムで感じることができるのです。

 

スターキーの私のチームの課題は、如何にしてこれらの技術を活用し、科学的発見という激動の流れを利用して人々の生活向上に貢献してゆくかを理解することです。私たちの使命はオズの国に身を置いて、赤い靴のようなヒアラブル端末を探し出し、最高の聞こえと最高の人生に向かっての次の足掛かりを見つけることなのです。

 

第2回をお楽しみに

トピック: 補聴器, ヒアラブル