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正しい耳のお手入れ方法(耳垢の処置について)

投稿者 教育部 投稿日 17/06/09 17:38

6月に入り気持ちのいい気候が続いています。補聴器を装用している方にとって気候が暖かくなるにつれて耳の中の環境も蒸れがちになりますよね。

 

あなたの耳垢はカサカサしていますか?それともベタベタしていますか?

日本人の耳垢(あか)は、70~80%の人がカサカサした乾燥タイプの耳垢であると言われています。

 

耳の正しいお手入れ方法イメージ 

スターキージャパンに所属するわたしには2人の子どもがいるのですが、生まれてこの方、家で子どもの耳掃除をしたことがありません。

 

耳を清潔に保つために、お風呂上りに髪の毛を拭くとき、耳の入口を一緒に拭くようにしています。

子ども達が習い事のスイミングなどで耳に入ったプールの水が気になるようだったら、その時だけ、綿棒を使用して耳の中の水を吸わせています。

 

親や子供がする耳のお手入れはその程度なのです。もちろん、何もしていないので、耳垢は溜まります。溜まった耳垢の掃除は、4か月~半年に一度の割合で耳鼻科を受診した時にお願いしています。

 

そのような簡単なお手入れで大丈夫?と思われるかもしれません。

しかし、わたしの子ども達は、外耳炎、中耳炎など、耳のトラブルで耳鼻科にお世話になったことは生まれてから一度もありません。

  

Q.耳垢は汚いものと決めつけていませんか?

A.耳には耳垢を外に出そうとする自浄作用があるのです。

 

耳垢は耳道の3分の1の外側部分に溜まり、人と話したり、食事などの顎(あご)の動きにより、自然と耳の外へと移動していきます。

 

耳垢には、耳の中を保護する、抗菌効果や潤滑剤のような役目があります。耳垢は、鼓膜から老廃物を遠ざけようと耳を保護します。綿棒のように耳を綺麗にする、耳垢を除去するものを耳の中に入れるということは、耳垢を外耳道の奥に押し込んでしまう可能性があり、鼓膜や外耳道壁を傷つける原因になってしまいます。天然の潤滑油を供給する耳垢を除去することで、外耳道が乾燥や痒みを感じさせます。

 

頻繁に耳を綺麗することはいいことなの? 

ドラッグストアや100円均一ショップなどで耳かきは手軽に購入できます。旅行に行くと、お土産用にご当地の耳かきが販売されていたり、日本人は耳掃除が好きな国民性なのかもしれません。

ところが、アメリカでは、耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(AAO-HNSF)が、耳掃除をしない方が、耳を健康に保つための理想的な環境を作ることができると報告しています。報告書に次のように書かれています。

 

“Unfortunately, many people mistakenly believe that earwax should be routinely removed for personal hygiene. This is not so. In fact, attempting to remove ear wax with cotton-tipped swabs, bobby pins, or other probing devices can result in damage to the ear including trauma, impaction of the earwax, and changes in hearing. These objects only push wax in deeper, and can block the ear canal entirely.”

 

「残念ながら、多くの人々が、個人の衛生状態を保つために、耳垢を定期的に除去しなくてはならないという間違った認識を持っています。これは大きな間違いです。実際、綿棒やヘアピンで耳垢を取り除こうとすることは、外傷を伴う耳へのダメージ、耳垢栓塞、きこえの変化に結び付けられます。これらのものは、耳垢をより深く押し込んでしまうだけでなく、外耳道を完全に塞いでしまいます。」

 

耳垢を蓄積させない方法とは? 

オーダーメイド補聴器を作成する際には耳の型を採る必要があります。その際に耳垢がたくさんある状態だとこの耳型採取を行うことができません。このような場合、耳鼻科医師に相談して処置していただくことをお勧めしますが、その後も耳垢がたくさん出るような場合はどうしたらよいのでしょうか?

 

1週間に一度、耳垢を柔らかくする薬剤を使用して、耳道内の蓄積や栓塞を予防しましょう。アメリカでは、DebroxやMurineなどの点耳薬が店頭で販売されており、耳垢を柔らかくすることで、耳垢を耳の外に出やすくすることが頻繁に行われています。もちろん専門家に取り除いて貰う方が気が楽であれば、半年~1年に一度、耳鼻科を予約して取り除いて貰うのが良いかもしれません。

 

注:もし、中耳炎等の治療の一環で、鼓膜にチューブが挿入されていたり、鼓膜に穴が開いている状態だったり、糖尿病の症状や免疫力低下がある場合は、自分自身で耳垢を取ろうとする前にかかりつけの医師にご相談ください。

 

 

栓塞(耳垢の蓄積)の兆候

耳垢の過剰な蓄積は、痛み、感染症、聴力低下、かゆみなど、余り嬉しくない症状を伴い、栓塞(せんそく)気味になります。もし、耳に痛みや閉塞感を感じたら、耳垢栓塞(じこうせんそく)にならないためにも耳鼻科を受診しましょう。

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  • 耳垢が耳道を塞いでいると、聞え難さや、耳鳴り、かゆみなどを伴います。耳垢の排除に長けた専門家は、除去に顕微鏡や洗浄、吸引や搔き出しをします。耳道が狭くなっていたり、鼓膜に穴が空いていたり、鼓膜上にチューブをが挿入されている場合は、手作業での除去になるかもしれません。糖尿病や免疫力が低下している方は、耳垢除去に特に気を付けてください。

 

補聴器と耳垢 

耳垢は補聴器に猛威を振るいます。補聴器装用者の中には、補聴器を装用し始めてから耳垢が増えたという報告をされることがあります。補聴器は外耳道内の分泌腺を刺激して、更に多くの耳垢を作り、耳の外への自浄作用となる移動を妨げるかもしれません。

 

更に知っておかなければいけないことは、耳垢が補聴器のマイクロホンやレシーバーを詰まらせ、品質や性能を著しく劣化させてしまうことです。なぜ補聴器のクリーニングやメンテナンスが必要であるか、このブログの読者の方はすでにお分かりになられると思います。きこえの専門家は補聴器の適切な清掃やメンテナンスの仕方を教えてくれます。補聴器への耳垢侵入を防ぐために、補聴器のマイク部分に取り付けるカバーの定期的な交換も必要です。細かな作業が苦手な方は、購入された補聴器店で点検・クリーニングの際に交換をお願いしてみるのも良いかもしれません。

 

この記事に関する以下のブログ記事も参考にしてください。

 

耳の正しいお手入れについ

補聴器の大敵、耳垢から守るナノコーティング

 

正しい耳掃除の仕方 綿棒は・・・

 

 

トピック: 難聴と健康, はじめての補聴器