スターキーアメリカ本社で行われているポッドキャストコンテンツから、
CTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)アーチン・ボーミック博士の世界初の様々な健康管理機能を搭載した補聴器についてCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)デイブ・フェイブリーとの会話から解説させていただきます。
CIOデイブ(左)とCTOアーチン(右)
胸部の転倒検出専用デバイスより正確な
スターキー補聴器の転倒通知機能
デイブ:
転倒通知機能については、スターキーは特に自信を持っています。
両耳の補聴器にセンサーを搭載できるため、胸部装着型の専用デバイスよりも正確なことです。
装用中に万一転倒してしまうと、登録した連絡先にテキストと位置情報を送信することができます。
アーチン:
スターキー補聴器の転倒検出通知技術には驚くべき点がいくつもあります。
まず、そもそも最大の価値は、検出装置が補聴器なことだと思います。なぜなら、人とコミュニケーションをとるために常に補聴器は必要だからです。そして今、転倒検出通知機能は無料で提供されています。(=Evolv AI全価格帯・全クラスワイヤレスモデルに搭載)
もし転倒したら、補聴器が検出して、あらかじめアプリに登録された大切な人に警告を発してくれます。
この場合、音を増幅する補聴器がきちんと機能していれば、その補聴器が安全を守ってくれることが分かっているので、胸部の転倒検知専用デバイスと違い、転倒時に電池が切れているかもしれないと心配する必要がありません。
2つ目の価値は、転倒検出器が2つあることです。左側と右側に1つずつ。
もし左側が転倒を検知したら、もう片方の右側の補聴器と確認しあいます。
「転倒しましたよ。そちらはどう?」と。
胸部につけるペンダント型の専用デバイスの場合、歩いている最中に反応してしまう可能性がありますが、そのような場合を極力回避することができます。
転倒したかどうかを検知するには、頭にあるほうがはるかに精度が優れています。
私の見解では、これは非常に驚くべきことです。
デイブ:
しかし残念ながら、転倒は手遅れに近い場合もあるわけです。転倒を検知するだけでなく、転倒を予防するデバイスを開発できれば、将来のイノベーションがおおいに期待できます。
アーチン:
はい、そうですね。皆さんは、スターキーがスタンフォード大学医学部との共同研究に着手していることをご存知でしょうか。私たちは転倒の発生率自体を減らしていきたいのです。なので今、人々の歩行やバランスについて調べています。転倒の発生を抑えていきたいからです。
現在、スターキーの補聴器は転倒するとすぐに検出されますが、安全を守るためには、転倒が起こる前に歩行の劣化や姿勢の状態を知りたいと思っています。これは、ヘルスケア業界に対して素晴らしい貢献となるでしょう。
リマインド通知など
さらなるパーソナルアシスタント機能でユーザーの自立を促進
デイブ:
そうですね。このコラボレーションにとても期待しています。
さらに興味のある方はホームページから紹介しきれなかったエボルブの機能をご覧ください。
転倒検知とともにさらにリマインド通知(約束や服薬、水を飲むなどの音声によるリマインダー)が、全製品クラスに搭載されたことも大きいですね。
アーチン:
イベントで発表したとき、こういう声がありましたね。
「いつ何を飲まなければならないか、ユーザーが完全に忘れてしまう時がある。」
スライブアプリで必要な薬をリマインド通知に登録しておけば、
補聴器が「今がこの薬を飲む時間ですよ」と思い出させてくれます。
この救命効果はかなりすごいです。
補聴器がパーソナルアシスタントになるという3つ目の目的が、結実しつつあります。
デイブ:
そうですね。補聴器メーカーがヘルスケア企業であると認識されるには、業界にとって、また潜在的なユーザーにとって、何が必要だと思いますか?
アーチン:
私たちはすでにヘルスケア企業だと思います。
なぜなら補聴器は健康器具だからです。そして補聴器はあなたの安全も守ってくれるものです。スターキーのお客様やユーザー様に早く知っていただきたいのは、お客様の健康を守るために、スターキーは多くの付加価値を補聴器に搭載していることです。
よりよく聞こえるということは、よりよく生きるということですが、
これからは、あなたの大切な人が社会との関わりを欠く場合に警告を発することで、大切な人をより安全に保つことができるようになるんです。
家で孤独でいたり、引きこもることが、認知症、アルツハイマーの初期症状、そして認知機能の低下につながってしまうことはわかっています。
機械学習により、現在、スターキー補聴器は唯一、社会との関わりを測定することができます。大切な人のために補聴器をせっかく買ったのに、急に引きこもりがちになったり、以前は体を動かしていたのに動かなくなってしまうことは良くありません。
そんな時にも本人に注意を促すことで、大切な人をより安全に保つことができます。
1日に1万歩歩いていた人が、突然歩かなくなったらどうでしょう。補聴器の中核機能「聴力補助」は、すでに人々の生活を向上させていますが、それに加えて、このような付加価値、つまり、健康的なテクノロジーを備えた補聴器は、人々の生活をより向上するのに役立ちます。
超人的な聴力は、単に聴力を向上させるだけでなく、健常者よりも優れた聴力を可能にする寸前にまで来ているという話をしてきましたね。
デイブ:
そうですね。難聴と心疾患の関係を示す多くの研究が発表されていますし、認知機能の低下、身体活動の必要性も示されています。難聴と心疾患、認知機能の低下、健康のため、今以上に太らないための身体活動の必要性、これらすべてが難聴と強い関係があることを示す多くの研究結果が発表されています。
アーチン:
ビル(スターキー創業者)がせっかちであることがわかりました。(笑)
彼は「私たち、スターキーには責任がある」と強く思っています。
スターキーは、ユーザーの方の身体の中に不動産をもっていると考えています。それはより多くの価値を提供し、安全を守り、健康問題の早期警告システムを発することができる素晴らしい場所です。
やりたいことがあるだけでなく、他のウェアラブルデバイスや他のテクノロジーではできないことを、この形状で実現できるという責任もあるのです。
だから、機能が形になるのが待ち遠しく、私たちはまだその途上にもいます。
デイブ:
素晴らしい。さて、もし聴こえにくさを感じている人がいたら、とても簡単にできるのは聴力測定を受けることだと思います。耳鼻科医師または専門家に相談し、今お持ちの補聴器が自分に合っているかどうかも診てもらいましょう。これから登場する新しい技術にはどのようなものがありますか。
アーチン:
私はこれから起こることをお伝えしたくてたまらないです。
私たちが今持つデバイスは、お話ししてきた理由から、すでに数年前のデバイスよりも奇跡的に良くなっています。そして、技術革新のスピードは直線的ではなく、指数関数的なスピードで加速しています。私たちが話したことはすべて、新しいセンサーの組み込み、機械学習や人工知能の能力、膨大な量のデータの収集、新しい機能の開発や古い機能の改良、新しい形状などに活かされています。
デイブ:
空は無限大です。運転席にいてくれることをうれしく思います。ロケットの座席を与えられたら、どこに座るか聞かずに、ただ座って出発する、と言われるように。この3年間、一緒に仕事ができたことをうれしく思いますし、これからの3年間で、私たちがどんな成果を出せるか実に楽しみです。
アーチン:
スターキーでエキサイティングなのは、優秀なチームがいることです。私は毎日、人間的な側面、聴覚、ある機能に対するユーザーさんの拒否反応や受容の仕方、...そういったことを皆さんから学んでいます。
私たちは特定の問題を解決し、特定の価値を提供するためにここにいます。ユーザー、エンジニアとの対話を通じて、奇跡が起きます。 ありがとうございました。
デイブ:
こちらこそ。最後にもう一つ質問をして、終わりにしましょう。あなたは過去にメンターの役割について言及し、それがあなたにとっていかに重要であったかを話しています。しかし現在、あなたは大きなチームを率いて指導する立場にありますが、工学部の学生、オージオロジスト、調剤師、医師に対して何かアドバイスはありますか?ご自身の経験を踏まえて、共有すべき知恵はありますか?
アーチン:
私にできることは、ただ伝えることだと思います。私はこれまで、メンターと呼ばれる尊敬する人たちから多大な恩恵を受けてきましたし、今もそうです。これからもそうしていくつもりです。私たちは、人から学んだり、刺激を受けたりすることを決して止めません。基本に忠実であること、自分の人生全体を考えすぎないこと、そして、その時々のベストを尽くすこと、できる限りのことを学び、できる限りの貢献をすること、そうすれば、点と点がつながり、振り返れば、自分が歩んできた道に自分自身が驚くことになるでしょう。ですから、最大限の学びと最大限の貢献をするために、周りの窓を楽しむことです。そして、自分にも周りの社会にもプラスになるような、前向きなやり方で、世界に足跡を残していくことができるのです。
デイブ:
なるほど、ありがとうございます。この業界における短い期間で、あなたはすでに足跡を残しています。そして私たちは、一緒に将来のイノベーションを起こすことを楽しみにしています。
アーチン:
ありがとうございます。
デイブ:
本日はありがとうございました。
いかがでしたか?
スターキーの最新補聴器Evolv AIにつながるストーリーは過去の回を含めて、
以上で完結します。
本ポッドキャストシリーズの記事はこちら
Vol.1 知覚情報処理(パーセプチュアルコンピューティング)とAI補聴器
Vol.3 AI補聴器をさらに強化する!?エッジモードの真の価値
Vol.4 世界最小ワイヤレスCIC312を実現したスターキー補聴器