先日公表された日本国内補聴器市場の大規模調査JAPAN TRAK2022では18歳以上の聴覚障害の自覚についての自己申告は約11.6%でした。1
また、自認する難聴者のうち、補聴器を装用しているのは15.2%に過ぎず、全人口の1.5%しか至らないという残念な普及率となっています。1
補聴器が無償提供されているヨーロッパの国々の中でさえ、この割合は60%を超える国がありません。2
「難聴に気づいてから補聴器購入まで平均2-3年が経過している」と今回の調査では示されましたが、アメリカでは専門家による最初の聴力評価を受けるまでに4.8年、その後対策を講じるまでにさらに7~10年かかると言われています。
ランセットの報告3,4によると、難聴は認知機能の低下を予防したり遅らせたりする最も修正可能なリスク要因の一つです。
多くの機関の調査により、補聴器が十分に使用されていないことが判明しています。
しかし、補聴器に関する多くの誤解があり、補聴器の使用を妨げています。
ここでは、補聴器に関する誤解の代表的なものをご紹介します。
誤解1:補聴器は小さなプラスチック。そんなに高価じゃないはず。
事実:補聴器は小さなコンピューターです。一日中耳に装着するため、高度な回路が小型化されています(しかも耳の中がコンピューターにとって非常に過酷な環境であることはよく知られています)。また、新しい回路やマイクロチップの発明と検証に、聴覚科学と音響学の専門家からなる大規模な学際的チームが何年も何百万ドルも費やしているのです。
誤解2:補聴器は聴力を正常に戻してくれる。
事実:補聴器は聴力を正常な状態に戻すものではありませんし、難聴を「治療」するものでもありません。しかし、補聴器はコミュニケーション能力や聴き取り能力に大きな効果をもたらし、生活の質を大幅に向上させることができます。また、スターキーは、健康、ウェルネス、使いやすさをサポートする機能を提供しています。
誤解3:補聴器はどれも同じようなものだ。
事実:補聴器には様々なスタイルとテクノロジーレベルがあります。補聴器は、難聴の種類や程度、聴き取りのニーズ、好みのスタイル、コスト、その他のあらゆるニーズに応じて慎重に選択する必要があります。また、補聴器の音量や音質、装用者の身体的な快適さなど、適切なフィッティングや調整が必要です。
誤解4:私の難聴は補聴器が必要なほどひどくない。
事実:難聴の程度や聴き取りのニーズは人それぞれです。難聴は通常、ゆっくりと、そして微妙に進行します。多くの場合、難聴に最初に気づくのは周りの人です。補聴器がどの程度聴力を改善し、生活の質を向上させるかは、補聴器販売店と一緒に考えることが大切です。
誤解5:家族や友人が補聴器を装用しているが、役に立たなかったと言っている。
事実:補聴器を装用することには様々な要因があります。同じ難聴の人、同じ聴き取りが必要な人、同じ耳の構造を持つ人はいません。補聴器のテクノロジーレベルやスタイル、医療機関、そして装用者の忍耐力や決断力なども、フィッティングを成功させ、満足のいく結果を得るための重要な要素なのです。
誤解6:補聴器は大きくて目立つので、老けて見える。
事実:現在の補聴器はスタイリッシュで目立ちにくく、数年前に比べてはるかに小さくなっています。多くの人が、補聴器は他人からほとんど気づかれないと言います。
さらに、街を歩けば、少なくとも半数の人が耳から何か飛び出している(それはワイヤレスイヤフォンか補聴器です)のを目にすることでしょう。
補聴器の使用により、効果的なコミュニケーション、全体的な生活の質、グループ活動への参加、人間関係の改善など、多くの良い変化が報告されています(2)。
補聴器が自分に合うかどうか判断するために、補聴器販売店へご相談ください。
補聴器の販売店はどこにあるか?ここに郵便番号を入力するだけで、最新の補聴器技術を紹介、試聴可能なお近くの補聴器専門店リストを表示します。(補聴器の試聴には費用がかかる場合があります。)補聴器がどのように役立つのか、ご自身の耳で確かめてみませんか?
また耳について相談できる方がいない場合、日本耳鼻咽喉科学会が掲載している全国の補聴器相談医リストを確認してみてください。
-
1. JAPAN TRAK 2022,日本補聴器工業会
-
2. MarkeTrak 10 (2019), healthyhearing.com
-
3.Dementia prevention, intervention and care: 2020 report of the Lancet Commission. The Lancet. July 30, 2020.
-
4.G Livingston, A Sommerlad, V Orgeta, et. Dementia prevention, intervention, and care. The Lancet. July 20, 2017.
本ブログ記事はアメリカ本社所属のオージオロジストが執筆したものを日本市場向けにアレンジしたものです。