難聴など聴力の低下に対して、聞こえやすさをサポートするのが補聴器。補聴器はさまざまなメーカーから発売されているので、どれにしようか迷う方も多いと思います。この記事では、補聴器の選び方のポイントについて解説します。
■補聴器の選び方
補聴器の形状や性能には種類があり、人によって最適な補聴器は異なります。難聴の症状をみても「音量が小さく聞こえる」「音質がゆがんだように聞こえる」「音としては認識できるが内容が分からない」など、一人ひとり聞こえ方が異なるためです。
薬機法(正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)が定める気導式補聴器の[使用目的又は効果]は、「身体に装着して、難聴者が音を増幅して聞くことを可能とすること。ただし、気導式のものに限る。」とあります。一見すると音を増幅するだけのように見えますが、「難聴者が」を標榜できるのが医療機器である補聴器と集音器の違いとも捉えることができます。
クラスⅡに分類される管理医療機器である補聴器は、スピーカーのように音を増幅するだけでなく、音質の調整も行います。しかしながら、補聴器はあくまで聞こえやすさをカバーするもので、完全に失った聴力をカバーできるものではありません。実のところ、補聴器を使用しても、思ったほど、聞こえが改善しないと感じる方もいるかもしれません。
補聴器を購入するときは、自分の聴力だけでなく、どんな場面で使うかを想定しながら選ぶことが大切なんです。
■補聴器メーカー
現在、国内ではさまざまな補聴器メーカーが存在しており、一般社団法人 日本補聴器工業会に登録している事業社だけで11社を数えます。補聴器の心臓とも呼べる一般的に「アンプ(チップ)」という内部パーツを開発するためには莫大なコストがかかります。アメリカ発のスターキー補聴器はもちろん自社でこのアンプ(チップ)を開発している世界的メーカーの一つです。
スターキー(Starkey)
1967年創業のアメリカ(ミネソタ州)発の補聴器メーカーです。モーションセンサーやAI(人工知能)をはじめとするカッティング・エッジな最新テクノロジーを駆使した補聴器の開発に取り組んでいます。近年では、世界初となる充電式耳あな型補聴器を展開し、話題を呼んでいます。慈善活動家として今もなお現場の最前線で活躍する創業者ビル・オースティンはミネソタ州知事から「スターキーとビル・オースティンの日」を与えられたり、国連から世界初の聴覚ケア国際親善大使に任命されるなど、業界を超えた影響力で補聴器業界にとって生きる伝説になっています。(スターキー補聴器の歴史詳細はこちらからご覧いただけます)
■補聴器の種類―形状別ランキング
補聴器にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは、日本補聴器工業会の報告を元に、ランキング形式で補聴器の形状の特徴についてみていきます。
第1位 耳かけ型
国内の補聴器のシェアの6割以上を占めているのが、耳かけ型の補聴器です。耳にかけて使うのである程度補聴器自体は目立ちますが、扱いやすいメリットがあります。それでも最近では写真のようにレシーバーと呼ばれる音を出すパーツを外部に配置することで本体も小さく目立たないものが多く、デザイン性の高いものもあります。
第2位 耳あな型
耳あな型は、国内の補聴器販売台数シェアの約3割を占めています。耳あな型補聴器には、大きく分けると耳穴に収まる小型なものと、耳穴のくぼみ部分に収まるサイズのカナル型があります。耳穴を塞ぐため、人によっては閉塞感を抱くことがありますが、補聴器が目立ちにくく、本来の耳の形状を活かした集音効果を利用できるメリットがあります。耳あな型は8割以上は耳型を採って作るオーダーメイドが主流であり、これによってより高いフィット力を実現しています。
第3位 ポケット型
補聴器の本体が箱型になっており、コードのついたイヤホンを耳につけて使用します。使用中にイヤホンが取れることがありますが、本体が大きいので扱いが簡単です。その他の補聴器に比べると価格が安めなので、気軽に購入することができます。
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■補聴器の値段
補聴器の一般的な値段はメーカーや性能によっても異なりますが、耳かけ型補聴器が9万円程度から購入でき、オーダーメイドとなる耳あな型補聴器は15万円前後が相場となっているようです。両耳の場合は、上記の2倍くらいの値段になります。
身体障がい者手帳がある場合、補聴器の購入に補助金が出る場合があります。補助金の対象となるのは高度な難聴がある方で、軽度や中等度の難聴では対象とならない場合が多いようです。詳しい手続きに関しては、お住まいの自治体(市区町村)へ問い合わせてみてください。
また、補聴器の購入に対して医療費控除を受けられる場合があります。
「医師等による診療や治療を受けるために直接必要な補聴器の購入費用」に限定され、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額にはなりますが、日本耳鼻咽喉科学会が認定した補聴器相談医に診てもらい、補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)(PDF/438KB)を書いてもらうことで適用となります。
■補聴器の主流になりつつある充電式補聴器
補聴器の形状ごとにポイントはありますが、どの補聴器にも共通して必要なのが電力です。ポケット型を除くと、従来までの補聴器は空気電池と呼ばれる補聴器専用の電池を使用することが当たり前でした。補聴器用の空気電池は一般的なボタン電池よりもさらに小さく、高齢の方で手先が震えてしまったり、目が見え難い状態ですと、この小さな電池の交換には非常に手間がかかるというデメリットがありました。
近年では、充電式の補聴器が各メーカーから続々と登場しており、電池交換の手間やコストをかけずに、快適に使用することができるようになりました。スターキー補聴器をはじめ、現在いくつかのメーカーから充電式補聴器がすでに販売され、主流になりつつあります。新しい補聴器を購入するときは、充電式補聴器を検討してみる価値は大いにあると思います。
■補聴器を購入するときの注意点
近年、利便性の高さからインターネット通販を利用する方も増えていますが、日本補聴器工業会では補聴器を選ぶのなら、店舗での購入をおすすめしています。自分に合った補聴器は実際に試用してみないと分かりづらく、購入後に聞こえづらさを感じることもあります。
例えば、感音性難聴の方なら、補聴器を使用しても、にぎやかな場所や音から離れている場所では、聞こえづらさを感じることがあるかもしれません。
パソコンと補聴器を接続して販売店内で多く行われている「フィッティング」と呼ばれる調整の際にはよく聞こえていても、外に出て色々な環境で使用することで、さらに調整が必要となるケースはあるのです。
特に、はじめて補聴器を購入する場合は、試用してみたい補聴器の調整に対応できるスタッフがいる店舗で購入するのがおすすめです。
残念ながら、補聴器メーカーのフィッティングソフト、接続方法などは各社ごとに異なっているのが現状です。
補聴器販売に従事していても、操作画面が慣れないメーカーのものだとうまく動かせないスタッフの方がいることは事実です。先ほどもお伝えしたように日本補聴器工業会に所属している補聴器メーカーだけでも11社もあるのです。販売店の方がどんなに補聴器に詳しかったとしても、全てのメーカーの全ての補聴器に自信がある方を見つけることはかなり難しいでしょう。
そんな時は、メーカー名(例、スターキー補聴器)や器種名(例、リビオ)をスタッフの方に予め伝え、販売経験やフィッティング経験の有無を尋ねてみてください。現在はコロナ禍でもあるため、多くのお店で予約制をとっています。メール、電話、FAXなどお店のホームページなどから問い合わせを行うとスムーズな試聴ができるでしょう。
スターキーは、補聴器はテクノロジーだけでユーザーの皆様に届けられるものと考えていません。ユーザーと真摯に向き合って、聴覚ケアだけでない生活のパートナーとなれる関係性を築ける専門スタッフから補聴器が届けられることを望んでいます。
■補聴器を店舗で購入するメリット
補聴器の販売店舗の中には、補聴器の貸し出しをしているところもあります。補聴器の購入後に不具合が出たときは、点検や修理などのサポートにも対応しています。
スターキーでは、お客様のニーズに合わせた取扱店舗をご紹介しています。はじめて補聴器を購入検討している方や、新しい補聴器に買い替えたいけど、お店選びにお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
■まとめ
補聴器には種類があり、メーカーによっても形状や性能が異なります。補聴器の購入は店舗で行い、専門スタッフによるフィッティング調整をして、自分の聴力やライフスタイルに合った商品を選びましょう。記事内で紹介した内容を参考にしていただき、みなさまの納得できる補聴器選びのサポートになれば幸いです。